ポストモダンとのつながり
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/01/21 19:23 UTC 版)
「ハイテク建築」の記事における「ポストモダンとのつながり」の解説
ハイテク建築において顕わになっている構造部材や配管は、単に通常の建築物においてこれらを覆い隠している部材を剥ぎ取って、露出しているというものではない。露出した鉄骨には、錆も発生すれば、火災の際にも所要の強度を保つために耐火被覆も必要である。ダクトや配管といった設備部材も、外部に表出させるには、断熱や防錆に、内部とは異なる仕様を求めなければならない。また、これらはヒートブリッジ発生の元となることは確実であり、対策が必要となる。たとえば、ノーマン・フォスターが日本で手がけた作品である東京都文京区のセンチュリー・タワーは、先述の香港上海銀行ビルと同様、構造体をファサードに表出させているが、その美しい表面はパネルで覆われたものである。つまり、ハイテク建築に用いられるこれらの建築言語は、機能主義から逸脱し、ひとつの装飾となっているのである。(こうした装飾性を嫌い、機能としての構造体、設備部材の美を評価しようという動きが、近年見られる工場萌えであると見ることもできる。) また、近代建築において、鉄骨と並び立つ構造材料であるコンクリートの仕上げである打放しコンクリートも、構造体というテクノロジーの意図的な露出というて点でハイテク建築と同じ地平に立つものであるが、通常、打放しコンクリートの建築を指して、ハイテク建築とは呼ばない。この点を見ても、ハイテク建築が理論、概念に根ざすものではなく、様式としての性質を色濃くしていることがわかる。 装飾と様式という、モダニズム建築が否定してきた二つの要素を確実に持ち合わせるハイテク建築は、すでにモダニズムの領域から踏み出し、ポストモダンの領域に入り込んでいると見られる。
※この「ポストモダンとのつながり」の解説は、「ハイテク建築」の解説の一部です。
「ポストモダンとのつながり」を含む「ハイテク建築」の記事については、「ハイテク建築」の概要を参照ください。
- ポストモダンとのつながりのページへのリンク