フローティングキャリパー
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/03/30 08:43 UTC 版)
「ブレーキキャリパー」の記事における「フローティングキャリパー」の解説
ブレーキピストンをキャリパーの片側(主に車軸内側)だけに持ち、片押し式や浮動式、スライド式とも呼ばれる。この形式はキャリパーベースとキャリパー本体の2つの部品で構成される。スライドピンを持つキャリパーベースがサスペンションに固定され、キャリパー本体はスライドピン上でブレーキディスクに対して平行移動するようになっている。 一つのピストンが片側のブレーキパッドをディスクに押しつけると、その反力がもう片方のパッドをディスクに押し付ける。通常、ブレーキパッドはキャリパーベースに半固定されており、キャリパーやスライドピンにはブレーキ回転方向の引き摺り力は作用しない。登場当初は様々なキャリパーの浮動方法があった。現在のスライドピン形式に収束したのは1970年代後半のことで、対向ピストン式よりも歴史ははるかに新しい。 一般的な物ではメンテナンスのために反対側のキャリパーのピストンに正対する部分がU字形に切り欠かれていて、対向ピストン式に比べてキャリパー剛性に若干劣る。軸重増加やタイヤ高性能化に伴う制動力向上要求に対しては、ピストンの数を増やすのに不利なため、高性能車や重量のある車などでは4ピストン以上が可能な対向ピストンキャリパーに置き換わっている キャリパーの外側にピストンが存在しないため、ホイールのディスク面とブレーキディスク間の距離が少なくてすむというコンパクトさが長所であり、幅広ホイールを使用しにくい軽自動車やコンパクトカーでは積極的に採用されている。殆どが1ピストンであるが、軸荷重が大きい場合は2ピストン形式が使用される。モノブロック対向ピストン式と同じ加工法を用いて、ピストン反対側のキャリパーのU字形切り欠きを廃した高剛性仕様もあったが、前述の通り近年は対向ピストン式に取って代わられた。
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