フレイの剣との同一視
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/05/02 10:16 UTC 版)
「レーヴァテイン」の記事における「フレイの剣との同一視」の解説
スウェーデンの作家ヴィクトル・リュードベリ(英語版)は、著書『Undersökningar i germanisk mythologi(ゲルマン神話研究(英語版))』(1886年-1889年、2巻本)の中で、レーヴァテインとフレイの剣(彼はこれを「勝利の剣」と呼んでいる)、さらには他の諸々の武器が同一のものであると主張した。この書籍は神話の翻訳や学術的な研究でなく、彼の手による神話の再解釈・再構成という側面が強く、同書中で彼は、各エッダ詩やサクソの『デンマーク人の事績』、各サガ中に現れる逸話などが、元々は同じ一つの神話であったという説をとっている。 リュードベリが主張するところによると、北欧神話で鍛冶屋として名高いヴェルンドはイーヴァルディの息子たちの一人であり、ロキとブロック・エイトリ兄弟の賭けで、息子たちが鍛えた宝物(グングニルなど)が兄弟の鍛えた宝物(ミョルニルなど)に負けたことを受け、ミョルニルを超えるものとしてレーヴァテインを鍛えたという。スヴィプダグルの物語に登場するロプトルとはロキでなくヴォルンドのことであり、また実はスヴィプダグルの叔父である。 そして、メングロズとはフレイヤ、フョルスヴィーズルはオーディン、彼らが居た砦は実はアースガルズのことであるとする。スヴィプダグルが入城できたのは彼がすでにレーヴァテインを携えていたからであり、彼はメングロズ、すなわちフレイヤと結婚したのち、携えてきた剣を義兄のフレイに渡す。すなわちレーヴァテインがフレイの勝利の剣となる。別の説では、スヴィプダグルはトールの血を引く英雄・ハッティングに殺され、勝利の剣は紆余曲折を経てフレイの下に渡っている。 さらに、スヴィプダグルはスキールニルとも同一視でき、彼がゲルズを脅すのに使った魔法の杖「ガンバンテイン(英語版)」(gambanteinn) もまた、レーヴァテインと同一であるとする。さらには、メングロズがフレイヤであるから、彼女の夫であるオーズとスヴィプダグルは同一人物であり、さらにオーズは『デンマーク人の事績』に登場するホデルスと同一視できて、ホデルスは北欧神話のヘズに対応することから、ヘズがバルドルを殺したヤドリギ「ミスティルテイン」(mistilteinn) も実はレーヴァテインだったのではないかというところまで論を広げている。リュードベリはこれらの剣の共通点として、それぞれ神やそれに近い存在を殺すことのできる唯一の武器とされている点などを挙げている。 彼の著書は発表された当時に賛否両論の議論を巻き起こした。
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