フランシス・ヴァーニー卿
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/26 15:23 UTC 版)
「吸血鬼ヴァーニー」の記事における「フランシス・ヴァーニー卿」の解説
作中でヴァーニーが語るところによると、かつてオリバー・クロムウェルが王家を裏切った際に吸血鬼化の呪いをかけられ、また、その際に怒りのあまり、誤って息子を殺してしまったという。ヴァーニーのキャラクター像は一貫しておらず、初期においては一般的な吸血鬼物語のように、その行動原理として食料として血液を求めるヴァーニーが描かれていたが、後期においては金銭的な利益を求めているようにも描写されている。作者がヴァーニーを文字通り吸血鬼とするか、人間的なキャラクターとするか、定まっていなかったと思われ、物語は時々矛盾し、混乱が生じている。ヴァーニーはバナーワース家の玄関に掲げられた肖像画の人物によく似ており、物語全編を通して、彼がマルマデューク・バナーワース(またはランナゲート・バナーワース卿。名前もまた物語全体で錯綜している)であることを強く示唆しているものの、実際にバナーワース家の祖先であるかは明白にはされない。また、ヴァーニーは自らが吸血鬼であることに嫌悪しているように描かれており、あるエピソードでは復讐のために(仲間を増やすためではなく)クララ・クロフトンを吸血鬼に変えてしまう。 物語の進展にともなってヴァーニーは状況に翻弄された悲劇的な人物として同情を集めるように描写されていく。彼は自分自身を救おうと行動するものの、それが叶わない。最期は、自分に同情してくれた司祭に、自分の出自などを説明した文書を残し、ヴェスヴィオ火山に身を投げて自殺する。 彼は死んでも、途中で何度か復活を遂げ、このために著者は様々な生い立ちの物語を書くことができた。そのうちの1つにはチリングワース博士という医学生がヴァーニーの首吊り死体にガルヴァニズムを適用し、蘇生させたというものがある。このサブプロットはメアリー・シェリーの『フランケンシュタイン』において、フランケンシュタイン博士が怪物(フランケンシュタインの怪物)を作るために電気を用いたことに類似している。
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