フォルクスワーゲンのセールス戦略
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/03 01:58 UTC 版)
「ランチェスターの法則」の記事における「フォルクスワーゲンのセールス戦略」の解説
フォルクスワーゲン社は製品を他社と競争販売を行う場合、自社占拠率が40%を超える地域を1つ獲得することを最初の目標とし、同時に他社占拠率が40%を超える地域は後回しにする40パーセント・コントロール主義と呼ばれる経験則を販売戦略としていた佐藤84(p196)。 この「40%」という数字の根拠をランチェスターの二次法則を応用した数理モデルで説明することができる佐藤84(p196)。具体的には二次法則では考慮されていなかった兵士の補給(フォルクスワーゲンの文脈はセールスマンの補給)という概念を導入し、さらに作戦による自軍の削減をも考慮した微分方程式 d x d t = − a x − b y + A {\displaystyle {\mathrm {d} x \over \mathrm {d} t}=-ax-by+A} d y d t = − c x − d y + B {\displaystyle {\mathrm {d} y \over \mathrm {d} t}=-cx-dy+B} を考える。ここでx、yは兵士の数(フォルクスワーゲンの文脈では、セールスマンや店舗数等の「販売戦力」佐藤84(p197))、A、Bはそれぞれ単位時間あたりの自軍、敵軍(フォルクスワーゲンの文脈では自社、敵対会社。以下同様)の補給である佐藤84(p189)。さらに両軍とも、全兵力を戦略用、戦術用の2つに分け、 x = x S + x T {\displaystyle x=x_{S}+x_{T}} y = y S + y T {\displaystyle y=y_{S}+y_{T}} と書けるものとする。ここでxS、ySは自軍、敵軍の戦略用兵力、xT、yTは自軍、敵軍の戦術用兵力を表す佐藤84(p193-194)。戦略用兵力は敵の補給力に対してのみを攻撃を加えるが、戦術用兵力が攻撃を加えるのは補給力のみに限定されない佐藤84(p193-194)。なお、フォルクスワーゲンの文脈では、戦略的兵力とは他社の販売戦力を削ぐための間接的な販売戦力であり、戦術用兵力とは直接的な販売戦略である佐藤84(p197)。 敵軍の攻撃による自軍の補給力の低下は比率yS/xTによって決まると考えられ、同様に自軍の攻撃による敵軍の補給力の低下は比率xS/yTによって決まると考えられ佐藤84(p193-194)、 補給A、Bは近似的に A = P ( 1 − k ( y S / x T ) y S ) {\displaystyle A=P(1-k(y_{S}/x_{T})y_{S})} B = Q ( 1 − ℓ ( x S / y T ) x S ) {\displaystyle B=Q(1-\ell (x_{S}/y_{T})x_{S})} と書けるとしてよい佐藤84(p193-194)。ここでk、lは何らかの定数である。またP、Qはフォルクスワーゲンの文脈ではそれぞれ、ある地域における自社、他社の販売量を表し佐藤84(p197)、したがって x y = P Q {\displaystyle {x \over y}={P \over Q}} が成り立っていると仮定する佐藤84(p197)。さらに解析を簡単にするため、 a = b = c = d , {\displaystyle a=b=c=d,} k = ℓ {\displaystyle k=\ell } と仮定する佐藤84(p193-194)。 先述したようにxSは敵対会社の販売戦力を削ぐための間接的な販売戦力、xTは直接的な販売戦略であったから、間接的な販売戦力であるxSに投資できる余力があることが敵対会社に優位に勝てるための条件となる佐藤84(p197)。そのためには x T < x S {\displaystyle x_{T}
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