フェルミ超流動
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/19 00:31 UTC 版)
フェルミ粒子の超流動を作ることはボース粒子よりもかなり難しい。なぜなら、パウリの排他原理により複数のフェルミ粒子は同じ量子状態を占有することができないためである。しかしながら、フェルミ粒子から超流動を形成できるであろう良く知られた機構が存在する。これは、1957年にジョン・バーディーン、レオン・クーパー、およびロバート・シュリーファーによって超伝導を説明するために提唱されたBCS転移である。これらの著者は、ある温度以下で(フェルミ粒子である)電子はクーパー対として知られる束縛状態を形成する対になることができることを示した。固体のイオン格子を伴う衝突がクーパー対を壊すのに十分なエネルギーを供給できない限り、電子の流体はエネルギーを消散せずに流動することができる。その結果、それは超流動となり、その電子が流れる物体は超伝導体となる。 BCS理論は、超伝導を記述することに成功した。BCSの論文が公開されるとすぐ、ヘリウム3原子のような電子以外のフェルミ粒子によって構成された流体においても同様の現象が生じることが、理論家たちによって提唱された。これらの思索は、1971年、ダグラス・D・オシェロフによる実験がヘリウム3が0.0025 K以下で超流動になることを示したことによって確証された。そして、ヘリウム3の超流動はBCS理論と同様の機構によって生じることがすぐに検証された。 ヘリウム3超流動の理論は、超伝導のBCS理論よりも若干複雑である。この複雑性は、ヘリウム原子は電子よりもお互いの反発が非常に強いことに起因している。しかし基本的な考え方は同じである。
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