フィンランド政府
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/05/11 06:32 UTC 版)
フィンランド政府(フィンランドせいふ、フィンランド語: Suomen hallinto、英語: Government of Finland)は、北ヨーロッパの国家フィンランド共和国の政府。フィンランドは間接民主主義で比例代表制を採用しており、その政府は議会と大統領、中央行政による直接と間接な統治、地方政府、そして独立した司法を含む[1]。
最高政府機関
フィンランドは立憲共和制を採用しており、選挙で選ばれた最高位の機関は議会、大統領とその政府である[1]。
立法権は議会であるエドゥスクンタにあり、行政権は首相率いる内閣、正式には国家評議会にある。ただし、歴史上の枢密院のように、一部の事務は国家元首である大統領と国家評議会の全員が出席する会議で決定される。それ以外の場合では大統領は閣僚会議に出席せず、閣僚の助言を基に官僚任命や恩赦などの事務を行う。一方、内閣ではより重要でない事務は大臣が各自で決定を下す。首相と内閣の全閣僚はその職務においてエドゥスクンタに責任を負う。
中央政府
フィンランドの中央政府は首相府と11省庁で構成される[2]。政府の長は首相であり、現職は2019年12月10日に就任したサンナ・マリンである。首相は議会による選挙で指名された後、ほかの閣僚とともに大統領の委任を受ける。全ての閣僚は誠実で能力があるフィンランド国民でなければならない[3]。
省庁
フィンランドの各省庁は行政と政治の専門家として、その権限において政府の決定を準備する。また、国内と国際における提携では各自の部門を代表する[4]。
新しい法案は省庁で起草される。フィンランドの省庁は独立で法案を起草するという伝統があり、草案は法として正式に制定される前に政府と議会に審議される。最終的な立法権はフィンランド基本法に基づき、大統領および議会が有する[5]。
フィンランド政府には(首相府を含む)12省庁があり[6]、閣僚数が省の数を上回るため一部の省庁は2人以上の担当大臣がいる。12省庁は下記の通り。
- 首相府
- 外務省
- 司法省
- 内務省
- 防衛省
- 財務省
- 教育・文化省
- 農林省
- 運輸・通信省
- 経済・雇用省
- 社会保健省
- 環境省
地域と地方行政
フィンランドは6つの国家地域行政局に分けられ、基本的な公共事業と法的許可、例えば人命救助や環境許可を行う[7]。また、経済発展、運輸と環境センター(フィンランド語: Elinkeino-, liikenne- ja ympäristökeskus、または短縮してELY-keskus)が15か所あり、その責務は中央政府の政策を各地で実施することである[8]。
フィンランドの政府と公共事業を構成する基本単位は基礎自治体である[9]。2017年時点のフィンランドでは311の基礎自治体がある[10]。
間接公共行政
「間接公共行政」とは政府自体ではないが、公権力を行使できる機関であり、政府当局を補完する団体として福祉社会の一端を担う[1]。一例としては自動車検査を行う機関や狩猟免許を発行する機関がある[11]。
司法制度
権力分立については三権分立を採用して独立した司法制度となっており、その判断基準は現行法律でのみとなっている[1]。民事訴訟や刑事訴訟などはまず地方裁判所27か所で審議され、その後には上告して上告裁判所6か所による審議を受けることができる。政府の決定についての不服申し立ては地方行政裁判所6か所で審理される[12]。
脚注
- ^ a b c d “State and municipalities”. suomi.fi. 2017年1月19日閲覧。
この記述には、アメリカ合衆国内でパブリックドメインとなっている記述を含む。
- ^ “Ministries”. Suomi.fi. 2017年1月20日閲覧。
- ^ “Formation of the Government, Sections 60 and 61”. Finlex. 2016年6月13日閲覧。
- ^ “Ministries”. Finnish State Treasury. 2016年4月29日閲覧。
- ^ “Law Drafting”. Finlex. 2016年6月13日閲覧。
- ^ “Ministries”. Finnish Government. 2011年6月10日時点のオリジナルよりアーカイブ。2011年6月22日閲覧。
- ^ “Regional State Administrative Agencies”. avi.fi. 2017年1月19日閲覧。
- ^ “Centre for Economic Development, Transport and the Environment”. ely-keskus.fi. 2017年1月19日閲覧。
- ^ “Kuntarakennelaki” (フィンランド語). Finlex. 2017年1月19日閲覧。
- ^ “Kuntien lukumäärä” (フィンランド語). vm. 2017年1月19日閲覧。
- ^ “Indirect public administration”. Suomi.fi. 2017年1月20日閲覧。
- ^ “Courts of law”. Suomi.fi. 2017年1月20日閲覧。
関連項目
- フィンランドの政治
- オーランド諸島自治政府
- フィンランドの選挙
- フィンランド元老院
外部リンク
フィンランド政府
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/01/12 22:11 UTC 版)
「ヨケラ高校銃乱射事件」の記事における「フィンランド政府」の解説
11月8日、公的機関と民間団体が同様に全国で半旗を掲げ、フィンランド政府は会期中に黙禱を捧げた。マッティ・ヴァンハネン首相は「政府の心からの哀悼の意」を表し、報道機関、保護者、学校が事件について正しい見方で話し合う必要がある旨を強く指摘した。 フィンランド国立教育委員会は直ちに、教員と校長に、生徒と銃撃について話し合う方法についての指示と、保護者への短い指示を投稿した。タルヤ・ハロネン大統領も哀悼の意を表した。フィンランド福音ルター派教会は、ヨケラ教会に危機センターを開設した。このセンターでは、悲劇に苦しむ人々に専門的な支援が提供された。犠牲者の追悼や記念のため、多くのグループがIRC-Gallery(英語版)とFacebookに登場した。 トゥルクのルター派大司教であるジュッカ・パールマ(英語版)、カレリアの正教会レオ(Leo)大司教、ヘルシンキのカトリック司教ヨゼフ・ローベル(Józef Wróbel)、その他の教会当局は、犠牲者の親戚や愛する人々へ哀悼の意を表した。全国的に、パストラルケアを求める人々は誰でも教会の建物を利用することができ、事件はそのために多くが特別に催された神事の主題となった。 2007年11月9日、フィンランド政府は、銃器に関する欧州連合の指令への異議申し立てを取り下げることを決定した。これにより恐らく、ヨーロッパの一般的な銃所有権の最低年齢制限である18歳の年齢制限が設けられることになるとみられる。この決定が発表された後、内務大臣のアンネ・ホルムルンド(英語版)は補佐官を通じて、指令は長い間欧州連合で保留されており、「これを以てしても事件を防ぐことはできなかっただろう」と思われるもので、今回の決定は事件の直接の結果ではなかったと述べた。 11月13日、フィンランド政府は「事件に関連するヨケラの学校の銃撃と事件を調査するための調査委員会」を設置すると発表した。調査報告書は2009年2月に発表された。
※この「フィンランド政府」の解説は、「ヨケラ高校銃乱射事件」の解説の一部です。
「フィンランド政府」を含む「ヨケラ高校銃乱射事件」の記事については、「ヨケラ高校銃乱射事件」の概要を参照ください。
「フィンランド政府」の例文・使い方・用例・文例
- フィンランド政府のページへのリンク