フィクションにおける来歴の虚偽
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/19 03:34 UTC 版)
「偽書」の記事における「フィクションにおける来歴の虚偽」の解説
小説などの中では、しばしば文書の来歴自体を偽るケースがある。風刺文学の最高峰と見なされる『ガリヴァー旅行記』は全編フィクションであるが、英国人船長にして医師のレミュエル・ガリヴァーなる人物の体験談であると、本文は主張している。『ドン・キホーテ』はさらに凝っていて、アラビア人歴史家のシデ・ハメーテ・ベネンヘーリがアラビア語で書き残したドン・キホーテに関する文献を街で偶然に発見したミゲル・デ・セルバンテスが翻訳および編纂した物語という体裁をとっている。 また、生物学の知識に裏打ちされた優れたパロディ『鼻行類』は、ハイアイアイ群島に生息した鼻行類の生態を精緻に分析した研究書という体裁を取っている。 ただし、これらのように虚構の中で虚偽の来歴が展開される文書は「偽書」と呼ばれることは通常ない。こうした例の中には、文書そのものが存在しないにも拘らず、もっともらしい来歴だけが滔々と作り上げられた『ネクロノミコン』のような特異な例もある。 『第三の眼(英語版)』(The Third Eye) - 自称チベット人ラマ僧ロブサン・ランパが「自伝」として刊行した著作。著者は実際にはイギリス人で、全く架空の内容であった。 また、本に書かれていることは信じられやすいという特性を利用して、架空の書物からの引用という形で解説することによって、荒唐無稽な技術や理論にリアリティを与えるというテクニックもある(『魁!!男塾』の民明書房)。
※この「フィクションにおける来歴の虚偽」の解説は、「偽書」の解説の一部です。
「フィクションにおける来歴の虚偽」を含む「偽書」の記事については、「偽書」の概要を参照ください。
- フィクションにおける来歴の虚偽のページへのリンク