ファンシーダイヤモンドの類似石
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/03 08:34 UTC 版)
「ダイヤモンド類似石」の記事における「ファンシーダイヤモンドの類似石」の解説
珍品と言われるファンシー(カラー)ダイヤモンドにも類似石が存在し、ジルコンがその目的に用いられることもある。茶色いジルコンを高温に加熱すると、鮮やかな色に変わることがあるからだ。中でもスカイブルー、ゴールデンイエロー、赤がよく見られる。ブルージルコンが一番多いが、この色は決して安定しておらず、長期間紫外光(太陽光に含まれる紫外線帯)に曝すことで褪色する。加熱処理はまたジルコンの結晶構造を変化させるので石は脆くなり、また特徴的な内包物が出る。 それとは別のファンシーダイヤモンド類似石は閃亜鉛鉱であるが、この石も相当に脆い。宝石質の石はたいていべっこう色からハニーブラウン、オレンジ、赤、緑といった色が着いている。高い屈折率 (2.37) と分散値 (0.156) から、宝石としてまこと見事な光沢とファイアを呈し、等軸晶系なので複屈折も見られない。でもしかし、この石もまた硬度が低く (2.5-4)、正十二面体の各面に沿ったへき開面を有しており、ジュエリーとして利用されない。二つのカルシウム含有ガーネット、グロッシュラー(灰礬柘榴石)(通常茶色がかったオレンジ、希に無色透明、黄、緑、ピンク)とアンダライト(灰鉄柘榴石)のがずっと適任である。後者は(大まかに分けると6種類ある)ガーネットのうちもっとも希少であり、それだけに価値もある。その色変わりの3つ、トパゾナイト(黄)、メラナイト(黒)、デマントイド(緑)はときおりジュエリーに用いられる。とりわけデマントイドは文字通り「ダイヤモンドに似た」という意味で、1868年ウラル山脈での発見以降珍重されてきた。この石(の使用)はロシアのアンティーク及びアールヌーボージュエリーの特徴として注目される。チタン石、別名スフェーンもアンティークジュエリーではよく見かける。これは濃淡のある黄緑色を呈し、光沢があり屈折率 (1.885-2.050) と分散値 (0.051) もダイヤモンドに見紛うだけ十分に高い。ダメなところは異方性である (0.105-0.135と複屈折率が高い)点と、傷が付きやすい点(モース硬度5.5)。 1960年代に発見された深い緑色のツァボライトは、グロッシュラーの色変わりの1つで、これも人気が高い。グロッシュラーもアンダライトも等軸晶系であり、比較的高い屈折率(各々1.74、1.89)と分散値 (0.027、0.057) を有しており、デマントイドについてはダイヤモンドの値を超えている。しかしながら硬度は低く (6.5-7.5)、ダイヤモンドではまず見られない内包物が見られる。デマントイド中には通称ホーステイルと呼ばれる石綿状の緑閃石が見られるが、これなど顕著な一例である。さらには、そのほとんどが結晶が小さく、ふつうは重量0.5カラット (100mg) 以下である。その光沢はガラス質からダイヤモンドに準じたもの、通常漆黒のメラナイトに見られる金属質まで様々で、メラナイトはそれゆえブラックダイヤモンドの類似石に使用されることがある。天然のブラックスピネルにも、往々にしてこの用途に適する十分に黒いものがある。 ジルコン加熱処理後 閃亜鉛鉱 デマントイド スフェーン ツァボライト メラナイト ブラックスピネル
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