ビデオファイルの実用
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/12/10 10:06 UTC 版)
「ビデオファイル」の記事における「ビデオファイルの実用」の解説
当初、静止画および上述のスーパー用、すなわち従来のテロップの代わりとなるものであったことから「ビデオファイル」(VF)とよばれるようになった。 その後間もなく音声が加わり、「ビデオ・オーディオファイル」(VAF)とも呼ばれるようになった。以降コンピュータのさらなる進歩、ハードディスク記憶装置または光磁気ディスク記憶装置の記憶容量のさらなる増加、データ圧縮技術の向上などにより、急速に、動画、音声、音声つき動画など、様々な組み合わせのものを自在に収録、再生できるものとなっていった。このことから単純に従来のテロップやカートリッジテープ再生装置などの代わりではなく、短時間の番組素材の送出に用いる、いわば小規模なCMバンクシステムあるいは番組バンクシステムとしても利用されるようになった。 2000年代に入ると、CMバンクシステム、番組バンクシステムと機能統合(機能連動)したものが次々に開発され、これらは地上テレビ放送のデジタル化を機に、各局に導入された。 今日、ビデオファイルは主調整室で主に提供やタイトル表示、おことわりなどの各種スーパーに用いられるのみならず、副調整室での番組制作、すなわち、コーナー表示などの各種スーパーに用いられるようになった。ただし副調整室ではリアルタイムに番組内容を構成する必要もあることから、ビデオファイルによらず、コンピュータグラフィックスまたはキャラクタジェネレータ(CG)生成装置から直接、映像を得る、あるいはCG生成装置内に小規模なビデオファイルの機能を持たせたものとなる方向にある。 現在、ラジオ放送に用いるオーディオファイルは完成されたものになりつつあり、ラジオの番組バンクシステム、CMバンクシステムなどはすべてこれに統合され、1日分以上の放送を全てオーディオファイルから放送することも可能となっているが、データ量の多い映像を扱うテレビ放送に用いるビデオファイルは、今のところ、このように大量の番組素材を収容できるほどのものとはなっておらず、ビデオファイルは、初期のラジオ放送局のオーディオファイルと同様に、現状、番組バンクシステムやCMバンクシステムの補助的な位置にある。また番組バンクシステム、CMバンクシステムとビデオファイルを併せたシステムも、現在のオーディオファイルの機能性に匹敵するものとはなっておらず、初期のオーディオファイルを用いたラジオ放送システムと同様に、その運用上の制約も多い。ビデオファイルが最終的な目標である「映像音声バンクシステム」となるには、まだしばらくかかる状態にある。
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