ビッグバンの否定
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/05 16:05 UTC 版)
「フレッド・ホイル」の記事における「ビッグバンの否定」の解説
ホイルはエドウィン・ハッブルによる宇宙膨張の発見については異論を唱えていないが、観測結果の解釈については同意しなかった。ホイルは、第二次世界大戦中にレーダーについて共同研究を行ったトーマス・ゴールドとヘルマン・ボンディと共に、宇宙は「定常状態」にあると主張した。この定常宇宙論では、宇宙はビッグバンによってある時点から始まって爆発的に膨張しているのではなく、新しい物質が絶えず生成されることが宇宙膨張の原動力となっているとする。 皮肉にも、「宇宙に始まりがあった」という考えに懐疑的だったホイルが『The Nature of Things』という BBC のラジオ番組の中でジョルジュ・ルメートルのモデルを 「this 'big bang' idea(この大ボラ)」「やつらは宇宙が大きな爆発で始まったと言っている」と愚弄するように呼んだのが始まりである。この発言を聞いたビッグバン理論の提唱者のジョージ・ガモフが面白がって使ったことから、「ビッグバン」という言葉は広く使われるようになった。とされている。科学記者ジョン・ホーガンの取材によるとホイルは卑下する意味は微塵も無く、番組聴取者に向けて何か新鮮な表現は無いものかと咄嗟に思いついたのが「ビッグ・バン」だったと気まずく述べており「命名者として特許を取得しておくべきだったよ」と悔やんでいる旨を明かしている。その名の通り爆発的に用語が一般認知、定着するが、それ以前の天文学者らの間ではフリードマン宇宙論として語られていた。同番組のテキストは1950年に出版されている。 この定常宇宙論の連続的物質生成説では、ある種の物質創生場 (creation field) の存在を仮定している以外、新しい物質の出現については何も説明していないが、これ自体は宇宙全体が無から生み出されたという(現在主流の)理論と比べて不可解さは似たようなものである。最終的には宇宙マイクロ波背景放射の発見によって、天文学者の間では(ホイルは別として)ほとんど全会一致でビッグバン理論が受け入れられているが、ホイル自身は定常宇宙論を生涯捨てることはなかった。
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