ヒースキットの製品のコンセプト
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/03 06:23 UTC 版)
「ヒースキット」の記事における「ヒースキットの製品のコンセプト」の解説
オシロスコープのキットの成功の後、ヒース社は多数の製品を送り出した。ヒースキットは二世代にわたり電子趣味人に大きな影響を与えた。ヒースキットを組み立てることにより、工場生産の物よりもはるかに安く入手できた。当時、市販の工場で生産された電子機器は全体的に真空管、真空管ソケット、コンデンサー、インダクター、抵抗器等を本質的に手作業で配線して組み立てられていた。自宅でのキットの組み立て者は同じ組み立て工程を彼自身が行い、もし注意深く作業を進めれば同等の品質の物が得られた。最も高価な製品であるトーマス電子オルガンのヒースキット版を組み立てる事は大いに節約できる代表的な事例だった。ヒースキットで一大分野を築いたのがアマチュア無線の分野だった。アマチュア無線の運用者はキットが登場する前は自作していて部品を揃える事も一苦労した。キットを購入する事で全ての部品が揃っているので組み立てに専念すればよく、完成した製品の品質は予想できた。多くのヒースキットの無線機は愛好家の間でよく知られたものになった。HW-101 HFは普及し、現在でさえ"Hot Water One-Oh-One"が使用されるのを見つける事ができるだけでなく、生産終了から10年以上経つがハムフェスタで中古品を購入できる。 組み立てられたヒースキットの出来栄えは工場生産品に対して常に見劣りしないものだったがヒースキットのアンプはリビングルームに設置するには相応しくなかった。多くのヒースキットの技術的な仕様は良かった。当時、最上級とされていたコリンズ社製のトランシーバーとの極端な類似性が指摘されてはいたが、ユーザーにとってはコリンズ同等品がはるかに安く入手できた。一般消費者はもちろん、RCAのような工場で生産された蓄音機を購入しただろうが、ヒースキットの製品は個々のコンポーネントからシステムを組み立てる場合において十分真剣に検討する価値があった。 計測器の事例においてヒースキットはローエンドニッチの需要を満たした。ヒューレットパッカードやテクトロニクスやフルークの製品は金属製のダイヤルや10段のデジタル表示を備えていたがヒースキットでは単純な樹脂製のダイヤルやシルクスクリーン印刷のフロントパネルだった。40ドルのヒースキットのオシロスコープは工場生産品に遠く及ばなかったかもしれないが、40ドル又は100ドルの工場生産のオシロスコープは存在しなかった。 ヒースキットの製造には時間と忍耐が必要で助けを乞う能力が必要だった。これらが得られれば失敗する可能性は少なかった。ヒースキットは工具が無くても完成できた。説明書はキット産業において最上の物とされ、明確ではんだ付け技術の基本的な教育から始まり、それぞれの到達箇所において線画による図やふきだしを交えて明示的に記述されていた。
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