ハリアーGR.3
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「ホーカー・シドレー ハリアー」の記事における「ハリアーGR.3」の解説
1974年には、ハリアーGR.1を発展させたハリアーGR.3が12機発注された。これは機首を延長してフェランティ社のレーザー測距・目標指示装置(LRMTS)を搭載するとともに、ARI.18223レーダー警報受信機(RWR)も搭載し、発電能力を12キロボルトアンペアに強化したものであった。1978年にも更に24機が発注され、また既存のハリアーGR.1も順次に同規格に改修された。 これらのハリアーGR.3は、1982年のフォークランド紛争で実戦投入された。当初派遣された第317任務部隊が擁する固定翼機は海軍のシーハリアーFRS.1艦上戦闘機20機のみであり、損耗に対する余裕がほとんどなかったために、空軍のハリアーGR.3が増援されることになったものであり、第1飛行隊のうち10機に対して下記のような改造が行われた。 航空母艦での運用への対応 塩害防止塗装や艦上での係留リングを追加した。また揺れ動く艦上でも慣性航法装置をセットできるように修正しようとしたもののこれは上手く働かず、ハリアーの航法は目測となった。 空戦用装備の追加 サイドワインダー空対空ミサイルの搭載・発射に対応するとともに、ガンポッドのうち1基を改造してブルーエリック電子妨害装置を搭載、また4機にはALE-40フレア・ディスペンサーを搭載。 第1飛行隊のハリアー9機は空中給油を受けながらアセンション島まで進出した。うち3機は同地の防衛のために拘置されたが、残り6機は、5月6日には「アトランティック・コンベアー」の仮設甲板に移動してフォークランド諸島に向けて出発し、5月18日には任務部隊と合流、空母「ハーミーズ」艦上に展開した。これによってハリアーGR.3が近接航空支援・航空阻止を担当して、シーハリアーFRS.1は戦闘空中哨戒に注力できるようになった。 このような分担であったため、ハリアーGR.3は対空砲火での損耗が多く、5月21日・27日・30日に計3機を失って戦力が半減したが、6月1日・8日にアセンション島から空中給油を受けつつ2機ずつが飛来して戦力を補充した。またスタンリー外郭防衛線への攻撃の際にはレーザー誘導爆弾による攻撃が試みられたが、新装備であったために当初は命中率が低く、習熟して命中率が上がるまえに守備隊が降伏したために真価を発揮することはなかった。 その後、1987年より、大幅に設計を更新した第二世代ハリアーであるGR.5の引き渡しが開始されたことから、本機はこちらに代替されて、退役していった。
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