ハプタ(7)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/06 00:20 UTC 版)
ハプタ、あるいはハフト(hapta/haft、7)という数字は3、5と並び、インド・イラン人(アーリヤ人)の文化において重要な意味を持った。ゾロアスター教やアフラ・マズダの信仰に関わる伝承には随所にこの数字が登場する。聖典『アヴェスター』はそれぞれ7つの章でできた3つのグループからなる全21巻本として成立したと伝わり、世界は人間界フワニラサ(xvaniraθa)とそれを取り囲む6つの領域という7つのカルシュワル(Haft karŠvar/keŠvar)からなると理解された。創世神話では神々は世界を7つの過程に分けて造り上げたとされ、最高神アフラ・マズダは自らの聖霊を通して6柱の神格を生み出し、アフラ・マズダ自身と合わせた7柱の神格が世界を構成する7つの創造物を創造した。そして預言者ザラスシュトラ(ゾロアスター)とその弟子たちも併せて「7人」であった。サーサーン朝の創設者アルダシール1世がハフトバードの城を攻略した際にもまた、7人の有力者(メハーン, mehān)を伴っていたと伝わる。 この7という数字への神聖視はハカーマニシュ朝(アケメネス朝)時代には確固として存在した。『旧約聖書』「エズラ記」7:14には「あなた(ハカーマニシュ朝の王アルタシャスタ/アルタクセルクセス)は、自分の手にあるあなたの神の律法に照して、ユダとエルサレムの事情を調べるために、王および七人の議官によってつかわされるのである」という記載がある。また、ヘロドトスの『歴史』では、ハカーマニシュ朝の王位が簒奪者スメルディス(バルディヤ)に奪われた際に、それを排除するために7人の同志が集まってスメルディスを排除し、最後は計略によってダーラヤワウ1世(ダレイオス1世)が王位に就いたことが説明されている。 7という数字と実際の数は厳密に対応しない場合もあり、フェルドウスィーが伝えるイランの英雄ロスタムの伝説では、ロスタムと共に10人の仲間がトゥーラーンの英雄アフラースィヤーブと戦っているが、彼らはたびたびhaft(7)と呼ばれている。
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