ニクトゲン化三水素
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/12 04:31 UTC 版)
「ニクトゲン化水素」の記事における「ニクトゲン化三水素」の解説
ニクトゲン化水素の最も単純な形は、化学式XH3(Xはニクトゲン)で表されるニクトゲン化三水素(「モノニクタン」に相当する、炭化水素でモノアルカン、即ちメタンの類縁体である)である。三角形平面である13族元素の水素化物とは異なり、ピラミッド構造であり、そのため極性を持つ。ニクトゲン化三水素は、通常、元素が重くなるほど、不安定になり、毒性が高くなる。 単純なハロゲン化水素やカルコゲン化水素と同様に、ニクトゲン化三水素は水に可溶である。酸性水溶液となる硫化水素やフッ化水素等の他の水素化物とは異なり、アンモニアが水に溶けると、塩基性の水酸化アンモニウムを形成する。ホスフィンも水に可溶である。アルシンやスチビンは若干溶ける。ビスムチンがどうかは分かっていない。 化合物化学式構造式空間充填モデルアンモニア(アザン) NH3 ホスフィン(ホスファン) PH3 アルシン(アルサン) AsH3 スチビン(スチバン) SbH3 ビスムチン(ビスムタン) BiH3 モスコビウム化水素(モスコバン) McH3 ニクトゲン化三水素の性質のいくつかは、以下のとおりである。 性質NH3PH3AsH3SbH3BiH3融点 (°C)−77.8 −133.5 −116.3 −88 ? 沸点 (°C)−34.5 −87.5 −62.4 −18.4 16.8 (外挿) 液体密度 (g/cm3)0.683 (−34 °C) 0.746 (−90 °C) 1.640 (−64 °C) 2.204 (−18 °C) ? ΔH°f/kJ mol−1−46.1 −9.6 (?) +66.4 +145.1 +277.8 X–H距離(pm)101.7 141.9 151.9 170.7 177.59 H–X–H角107.8° 93.6° 91.8° 91.3° 90.48° これらの気体は純粋な形では無臭だが、空気と触れると匂いを持つ。アンモニアは、尿や魚に例えられる悪名高い強い匂いを持つ。ホスフィンは魚やニンニク、スチビンは硫化水素やセレン化水素に似た腐った卵の匂いと言われる。
※この「ニクトゲン化三水素」の解説は、「ニクトゲン化水素」の解説の一部です。
「ニクトゲン化三水素」を含む「ニクトゲン化水素」の記事については、「ニクトゲン化水素」の概要を参照ください。
- ニクトゲン化三水素のページへのリンク