ナルカミスダレ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/05/02 07:36 UTC 版)
稲妻模様の顕著なものにナルカミスダレ Lioconcha dautzenbergi (Prashad, 1932)と名付けられたものがあるが、イナズマスダレの種内変異として異名扱いされる場合と、独立種とされる場合とがあり、分類が安定していない。 1999年に日本産の貝類の総目録を著した肥後・後藤(1999)はナルカミスダレを amirantium Melvill, 1909 ともにイナズマスダレと同種と見なし、これらの名を異名とした。 2000年に出版された日本を代表する貝類図鑑『日本近海産貝類図鑑』(初版)では、解説には「殻が高く、輪肋が強く山型模様の著しい個体をナルカミスダレ L. dautzenbergi Prashad, 1932という」とし、ナルカミスダレはイナズマスダレの個体変異とされた。 しかし2017年出版の『日本近海産貝類図鑑 第二版』では「ナルカミスダレ Lioconcha (Sulcilioconcha) dautzenbergi (Prashad, 1932)」の名で独立種として図示され、解説には「イナヅマスダレの一型ともおもわれるが、イナヅマスダレよりも、殻が高く、輪肋が強い。また殻表の山型文様が著しい。奄美大島からインドネシアの亜潮間帯」とあり、種内変異の可能性に言及されつつも別種扱いとなっている。 一方、世界の二枚貝を図示解説したHuber (2010)は、紅海、レユニオン、インドネシア、ボルネオ、沖縄、ポリネシアなどからの多数の標本を比較した結果、色模様や形態などは同一個体群内でも変異があり、ナルカミスダレを別種として区別する特段の理由は見当たらないとし、肥後・後藤(1999)に従いナルカミスダレをイナズマスダレの異名とするとした。この考えから、同じHuberが担当した海産動物名のデータベース「WoRMS」(2018)でもナルカミスダレはイナズマスダレの異名として扱われている。 ナルカミスダレの原記載は以下のとおり; Hysteroconcha (?Lamelliconcha) dautzenbergi Prashad, 1932: 217, pl. 6 figs 11-12. 種小名の dautzenbergi はベルギーの貝類学者 Philippe Dautzenberg (1849–1935)への献名。
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