ドイツの都市計画
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/07 15:37 UTC 版)
日本の都市計画制度には、ドイツに起源がある部分も少なくない。とくに、ゾーニング制度(地域地区制)はドイツで発展したものであるし、日本で「都市計画の母」と言われている土地区画整理事業や、戦前の市街地建築物法にあった建築線の制度は、ドイツから導入されたものである。 ドイツで「都市計画」は、建設法典(Baugesetzbuch)が根拠法となる。この法律は、連邦建設法と都市建設促進法を統合する形で、1986年に成立した。同法は、市町村がその土地の建築的およびその他の利用を、どのように準備し、誘導するかを定めている。ただ市町村の計画は、国全体の国土計画及び州レベルの計画が定める目標に適合しなければならない。市町村の計画は、具体的には、自治体(Gemeinde)が、その全域に関して土地利用の骨格を定めるFプラン(Flächennutzungsplan、土地利用計画)と、地区に関して建築の規制や公共施設の配置を定めるBプラン(Bebauungsplan)の2段階になっている。この両者をまとめて建設誘導プラン(Bauleitpläne)と呼ばれ、Fプランは準備的な建設誘導プラン、Bプランは拘束的な建設誘導プランである。いずれも自治体が策定し、自治体議会で決定されることが建設法典(Baugesetzbuch)に定められている。 2段階あるプランのうち、Fプランには行政内部での拘束力しかないが、Bプランには一般的な拘束力があるので、建築する場合には原則としてBプランにしたがう必要がある。その一方で、Bプランがない市街地もかなり残っており、そこでは周囲に適合するかどうかで建築の可否が判断される。 ドイツの都市計画は、「計画なくして開発なし」という言葉で紹介されることも多いが、これは誇張である。また、Bプランについても、屋根の色や窓の大きさまで制限されると、厳格さが強調されて紹介されることもあるが、建築形態に関する細かい事項はBプランでなく地区建築条例で定められるのが一般で、窓の大きさまで制限する例はほとんどない(この条例は、Bプランと同時に議決されるのが通例なので、ドイツ人もBプランと混同している場合がある)。なお、このように、「ドイツの都市計画制度はすばらしい」として内容を誇張し、手放しで礼賛する傾向が、「ドイツ神話」と言われることもある。
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