デュエット・コンサーティーナ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/29 09:16 UTC 版)
「コンサーティーナ」の記事における「デュエット・コンサーティーナ」の解説
右手と左手で二重奏(デュエット)的に演奏できるよう、ボタン鍵の配列を改良したタイプで、日本国内では演奏者が少ない希少楽器である。チャールズ・ホイートストンが開発し(1844年に特許取得)、後にさまざまな方式が考案された。 イングリッシュ・コンサーティーナは演奏性に優れた楽器であるが、例えば「ドレミファ…」を弾くとき、左手でド、右手でレ、左手でミ、右手でファ……のように左右を交互に行き来しなければならない。その点、アングロ・コンサーティーナなど押引異音式のコンサーティーナでは「ドレミファ…」を左手だけ、あるいは右手だけで弾けるが、こちらは蛇腹の押し引きを繰り返さねばならない。押し引き同音式であり、かつ、左手だけ、あるいは右手だけでも「ドレミファ…」を弾けるようにしたのが、デュエット・コンサーティーナである。ピアノやオルガンのように、右手と左手でそれぞれ違うメロディーを二重奏的に弾くこともできるし、右手で主旋律、左手で伴奏を弾くこともできる。ただし、ボタン鍵盤の並べ方は、楽器の形状による制約もあり、ピアノ式鍵盤とは全く違う。また小型の機種では一部の半音のボタン鍵を省略しているものもある。 デュエット・コンサーティーナの方式には、 クレーン(Crane。トライアンフ Triumph とも言う) マッカーン(MacCann) ヘイデン(Hayden。ヴィッキ・ヘイデン Wicki-Haydenとも言う) ジェフリーズ(Jeffries) などがあり、それぞれボタン配列の方式が異なる。例えば、救世軍が賛美歌などで普通に使っている「トライアンフ・フィンガーリング」の場合、手の甲へベルトを当て、拇指を除く4指を使い、和声的伴奏とメロディーをそれぞれ左右の手で同時に弾く(左手側が低音部で右手側が高音部)。デュエット・コンサーティーナの外見は、アングロ・コンサーティーナとよく似ている。しかし、一般的にデュエットのほうがアングロよりもやや大きく、またボタン・キーの数や配列の形もアングロとは微妙に異なるので、よく見ると外見だけで区別することができる。 チャールズ・ホイートストンが作った、初期のタイプのデュエット・コンサーティーナ。1855年~1860年ごろ。楽器の外見はジャーマン・コンサーティーナと同じだが、ボタン鍵盤の配列の形が違う。 デュエット・コンサーティーナ(左の黒い楽器)とアングロ・コンサーティーナ(右の茶色の楽器)。アングロのボタン鍵盤は掌台(しょうだい。パームレスト)に対してほぼ平行に並んでいるが、このデュエットのボタンは掌台に対して斜めに並んでいる。 小型のヘイデン式デュエット・コンサーティーナ。 ジェフリーズのデュエット・コンサーティーナの演奏。1981年、英国。 ヴィッキ・ヘイデン式鍵盤配列(英語版)のコンセプトを示す概念図。実際のヘイデン式デュエット・コンサーティーナのボタン鍵は、楽器本体のサイズの制約もあり、この概念図の一部分のみである。
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