チンクエ・テッレとは? わかりやすく解説

チンクエ‐テッレ【Cinque Terre】

読み方:ちんくえてっれ

イタリア半島の西の付け根にある町ポルトベネーレ北西にある総称。「五つ土地」の意で、コルニーリア・ベルナッツァ・マナローラ・モンテロッソ‐アル‐マーレ・リオマッジョーレの五つを指す。特産品琥珀色(こはくいろ)のワインムール貝がある。1997年、「ポルトベネーレ、チンクエテッレ及び小島群(パルマリア、ティーノ及びティネット島)」として世界遺産文化遺産)に登録された。

チンクエ‐テッレの画像
撮影Umberto Fistarol http://os7.biz/u/xg6sw

チンクエ・テッレ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/12/06 05:11 UTC 版)

ポルトヴェーネレ、チンクエ・テッレと小島群(パルマリア島ティーノ島ティネット島
イタリア
ヴェルナッツァ
英名 Portovenere, Cinque Terre, and the Islands (Palmaria, Tino and Tinetto)
仏名 Portovenere, Cinque Terre et les îles (Palmaria, Tino et Tinetto)
面積 4689.25 ha
登録区分 文化遺産
登録基準 (2), (4), (5)
登録年 1997年
公式サイト 世界遺産センター(英語)
使用方法表示

チンクエ・テッレイタリア語: Cinque Terre)は、イタリア北西部のリグーリア海岸にある5つの村を指す。険しい海岸に色とりどりの家屋が並ぶ文化的景観によって知られており、ポルトヴェーネレや小島群などと共にユネスコ世界遺産に登録されている。また、チンクエ・テッレは段々畑によるブドウオリーブの栽培が盛んで、ワインの産地としても知られる[1]

地理

チンクエ・テッレ

「チンクエ・テッレ」は、イタリア語で「5つの土地」という意味をもち、"5 Terre" と表記されることもある。リグーリア州ラ・スペツィア市の西方に所在する、地中海リグリア海)に面した次の5つの集落の総称である[2]。集落はすべて海岸の小さなまたは高いに位置し、一帯の植生ガリグ英語版マキア英語版低木林が多い[1]

  1. モンテロッソ・アル・マーレ (Monterosso al Mare) - 西北端
  2. ヴェルナッツァ (Vernazza)
  3. コルニリア (Corniglia)
  4. マナローラ (Manarola)
  5. リオマッジョーレ (Riomaggiore) - 東南端

行政上はラ・スペツィア県に属し、モンテロッソ・アル・マーレ、ヴェルナッツァ、リオマッジョーレの3つの基礎自治体(コムーネ)にまたがる。

5つの集落のうち最多の人口を有するのは東南端のリオマッジョーレ(1,142人、2001年国勢調査時点[3])で、ラ・スペツィアから西へ7 km、州都ジェノヴァから東南東へ72 kmの距離にある。西北端のモンテロッソ・アル・マーレとの間は直線距離にして約8 km隔たっている。

ともに世界遺産に登録されているポルトヴェーネレはリオマッジョーレから南東へ9 kmほどの距離にあり、ポルトヴェーネレ沖合の小島群(パルマリア島ティーノ島ティネット島)ともども同じラ・スペツィア県内にある。

登録基準

この世界遺産は世界遺産登録基準のうち、以下の条件を満たし、登録された(以下の基準は世界遺産センター公表の登録基準からの翻訳、引用である)。

  • (2) ある期間を通じてまたはある文化圏において、建築、技術、記念碑的芸術、都市計画、景観デザインの発展に関し、人類の価値の重要な交流を示すもの。
  • (4) 人類の歴史上重要な時代を例証する建築様式、建築物群、技術の集積または景観の優れた例。
  • (5) ある文化(または複数の文化)を代表する伝統的集落、あるいは陸上ないし海上利用の際立った例。もしくは特に不可逆的な変化の中で存続が危ぶまれている人と環境の関わりあいの際立った例。

歴史・社会

マナローラ付近の海岸

チンクエ・テッレの村々は、11世紀に要塞都市として建設された。以後1000年にわたって、隣の村との往来は船で行われていた。陸路で孤立したこれらの村々には、今も往時の面影が色濃く残っている。

平地がなく、土地も痩せているチンクエ・テッレで、人々は急斜面の固い岩盤を砕いて石垣を築き、岩盤を砕いた際に出た砂を土壌にして畑を作った。数百年かけて築かれてきた石垣の総延長は、6700 km に及び、これは日本列島を往復できる距離である。

この痩せた土地に根付いた作物がブドウである。人々はこのブドウからワインを醸造して生活を成り立たせた。ブドウ畑を守るためには土台となる石垣の修復は欠かせない。古い石垣は雨と風の影響で崩れやすくなっているからである。ここで育つブドウは、あまりたくさんの実をつけない。しかし、そのぶん味が凝縮したコクのあるワインが産まれた。それは古くからジェノヴァの商人によって、広く輸出されていた。

16世紀の古文書『ジェノヴァ年代記』(1537年)には「チンクエ・テッレは急斜面で不毛の土地ながら、人々が知恵を絞ってブドウを栽培し、ワインを作っている。多くの貴族、王子、王たちがそのワインをテーブルに置くことを大きな誇りにしている。」と記されている。

施設

マナローラとリオマッジョーレの間をつなぐ約1キロ強の遊歩道(有料)。

産品

チンクエ・テッレのワイン

チンクエ・テッレのワイン (Cinque Terre DOCは、原産地呼称統制(DOC)の指定を受けている。

アクセス

鉄道

リグーリア海岸沿いを走る鉄道

チンクエ・テッレの海沿いの崖を縫うように、鉄道路線(ピサ=ラ・スペーツィア=ジェノヴァ線)が走っており、5つの集落にそれぞれ駅がある。ジェノヴァ駅からは約1時間半程度、ラ・スペツィア駅からは約十数分から約30分前後で到着する。

海路

参照

脚注

  1. ^ a b Portovenere, Cinque Terre, and the Islands (Palmaria, Tino and Tinetto)” (英語). UNESCO World Heritage Centre. 2023年5月1日閲覧。
  2. ^ デジタル大辞泉の解説”. コトバンク. 2018年8月5日閲覧。
  3. ^ 国立統計研究所(ISTAT). “Tavola: Popolazione residente - La Spezia (dettaglio loc. abitate) - Censimento 2001.” (イタリア語). 2012年11月2日閲覧。
  4. ^ Magnificent View #013 マナローラ(イタリア)”. 文藝春秋 (2013年10月13日). 2018年10月25日閲覧。

外部リンク


チンクエ・テッレ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/08/15 11:02 UTC 版)

ヴェルナッツァ」の記事における「チンクエ・テッレ」の解説

詳細は「チンクエ・テッレ」を参照 ラ・スペツィアレヴァントとの間にあるリグーリア海岸5つ集落は、チンクエ・テッレ(5つ土地)と総称され景勝地・観光地として知られている。海岸山麓はチンクエ・テッレ国立公園 (it:Parco nazionale delle Cinque Terre) に指定されている。 チンクエ・テッレ(5つ土地)は以下の5つ集落を指す。なお、コルニリア自治体としてヴェルナッツァ含まれる分離集落フラツィオーネ)である。 モンテロッソ・アル・マーレ (Monterosso al Mare) - 最西端 ヴェルナッツァ (Vernazza) コルニリア (Corniglia) マナローラ (Manarola) リオマッジョーレ (Riomaggiore) - 最東端

※この「チンクエ・テッレ」の解説は、「ヴェルナッツァ」の解説の一部です。
「チンクエ・テッレ」を含む「ヴェルナッツァ」の記事については、「ヴェルナッツァ」の概要を参照ください。

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