タマ_(称号)とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > 百科事典 > タマ_(称号)の意味・解説 

タマ (称号)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/08/31 18:24 UTC 版)

ナビゲーションに移動 検索に移動

タマ(玉、魂、霊)は、3世紀から6世紀ごろの古代日本において、宗教的・呪術的な有力人物に付けられた名称のひとつで、ヤマト政権以前の称号(原始的カバネ)として使われた[1]。後に氏族の祖先名や名に多く用いられるようになる。

邪馬台国のタマ

3世紀の魏志倭人伝に伝えられた不彌国のタマ(多模[2])は対馬国壱岐国ヒコ(卑狗)やモリ(卑奴母離)と同様に首長(長官や副官)に付けられた称号と考えられている。

クニタマ

クニ(国)の首長称号としての「タマ」は神社や祭神名にも見出すことができる。「クニタマ(国玉、国魂、国霊)神社あるいは神」は「国を経営し功徳ある」カリスマ的存在を祭るものとして知られている[3]和泉国日根郡の「國玉神社」、常陸国真壁郡の「大国玉神社」、陸奥国磐城郡の「大国魂神社」、対馬国上縣郡の「嶋大國魂神社」、尾張国中嶋郡の「尾張大国霊神社」など約20地域の神社に「クニタマ」の名称が残されている。

タマヒメ・タマヒコ

国の首長称号であるクニタマに女性称号のヒメが付いている神社および祭神がある。伊勢国度会郡の「大国玉比売神社」および伊豆国那賀郡の「国玉姫(国玉命神社祭神)」である。また男性称号の(ヒコが付いているクニタマには能登生国玉比古神社(祭神は多気倉長命)がある。能登生国玉比古神社のすぐ近くには能登比咩神社(祭神は能登比咩神)が存在し、2つの神社は併せて「ヒメヒコ神社」と呼ばれている(ただし能登部神社の祭神能登比古神を能登比咩神の兄神とするのが一般的である)。これら2つの神社は、古代のヒメヒコ制の名残を留めると考えられる。同じヒメヒコ神社でタマを名称に付けているものに武蔵国埼玉郡の前玉比売・前玉比古(前玉神社祭神)および大和国添下郡のクシダマヒメ・ヒコ(矢田坐久志玉比古神社祭神)がある。

祖先名としてのタマ

タマは主に「玉」や「魂」まれに「霊」という漢字が当てられ、氏族の祖先名や神名に用いられている。安曇氏の祖先であり海神でもある「トヨタマ(豊玉彦、豊玉姫)」、忌部氏の祖先に「フトダマ(太玉命)」、物部氏の祖先に「クシダマ(櫛玉命、久志多麻)」、恩智氏の祖先に「イクタマ(伊久魂、天活玉)」などである。また安岐国造の祖に「アキハヤタマ(飽速玉命)」、三嶋縣主の祖に「カミタマ(天神玉)」、玉作連の祖に「アカルタマ(天明玉命、櫛明玉命)」が見える。

脚注

[脚注の使い方]
  1. ^ 太田亮『日本上代における社会組織の研究』1921年 379頁
  2. ^ 「多模」は「タマ」たまは「タモ」と発音されたと考えられている。太田亮『日本上代における社会組織の研究』1921年 380頁
  3. ^ 本居宣長、「古事記伝」第九巻

「タマ (称号)」の例文・使い方・用例・文例

Weblio日本語例文用例辞書はプログラムで機械的に例文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「タマ_(称号)」の関連用語

タマ_(称号)のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



タマ_(称号)のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのタマ (称号) (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
Tanaka Corpusのコンテンツは、特に明示されている場合を除いて、次のライセンスに従います:
 Creative Commons Attribution (CC-BY) 2.0 France.
この対訳データはCreative Commons Attribution 3.0 Unportedでライセンスされています。
浜島書店 Catch a Wave
Copyright © 1995-2025 Hamajima Shoten, Publishers. All rights reserved.
株式会社ベネッセコーポレーション株式会社ベネッセコーポレーション
Copyright © Benesse Holdings, Inc. All rights reserved.
研究社研究社
Copyright (c) 1995-2025 Kenkyusha Co., Ltd. All rights reserved.
日本語WordNet日本語WordNet
日本語ワードネット1.1版 (C) 情報通信研究機構, 2009-2010 License All rights reserved.
WordNet 3.0 Copyright 2006 by Princeton University. All rights reserved. License
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
「斎藤和英大辞典」斎藤秀三郎著、日外アソシエーツ辞書編集部編
EDRDGEDRDG
This page uses the JMdict dictionary files. These files are the property of the Electronic Dictionary Research and Development Group, and are used in conformance with the Group's licence.

©2025 GRAS Group, Inc.RSS