ソッピースキャメルとは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 固有名詞の種類 > 製品 > 武器・装備 > 兵器 > イギリスの戦闘機 > ソッピースキャメルの意味・解説 

ソッピース キャメル

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/05/31 14:32 UTC 版)

ソッピース キャメル

帝国戦争博物館ロンドン)に展示されているキャメル

ソッピース キャメル(Sopwith Camel)は、イギリスソッピース・アビエーションが開発した複葉戦闘機第一次世界大戦中、西部戦線で使用された。

開発

複葉戦闘機ソッピース パップの代替として1916年にソッピース・アビエーションで開発され、開発初期には「ビッグ・パップ」とも呼ばれた。130馬力の9気筒ロータリーエンジンのクレルジェ 9B エンジンを装備して速度は時速185 kmに達した。プロペラ回転面を通して発射する同調機銃としてビッカーズ 7.7 mm 機関銃2挺を搭載した。

機関銃の周りを覆うフェアリングがコブのようになっていたことから、キャメル(ラクダ)の名がついた[1]。軍はこの呼び名を禁じたが、定着したため採用した。1917年から運用が開始され、約5,490機が生産された。

派生型には、110馬力のル・ローヌ 9J、150馬力のグノーム 9N、ベントレー BR1など、その他のロータリーエンジンを搭載したタイプも製造された。

運用歴

アメリカで製作されたキャメル F.1のレプリカ

ロータリーエンジンの強いジャイロ効果がキャメルの操縦性を独特なものにして、新人パイロットには難しいものであり、着陸時の事故が多かった。またジャイロ効果故、抜群の右ロール性能を持っており、左に90度ロールするより右に270度ロールした方が早いとさえ言われた[疑問点]。安定性が極めて悪く、真直ぐ飛ぶためにパイロットは常に繊細な調整をする必要があったが、これによって空中戦における比類ない機敏さを与えられたキャメルは、第一次大戦中に全軍通じての最多撃墜数を記録した戦闘機となった[1]

「レッドバロン」ことドイツの撃墜王リヒトホーフェンが乗るフォッカー Dr.Iは、キャメルに乗っていたRAFのロイ・ブラウン(Arthur Roy Brown)大尉に撃墜されたと当初は言われていたが、現在では否定されている。2000年以降の研究によると、この時対空射撃を行っていたオーストラリア陸軍の機銃弾が命中した可能性が高いとされる。詳細はマンフレート・フォン・リヒトホーフェン#最期を参照。 当時の騎士道精神に則れば、無名の兵士の対空砲火によって撃墜されるのは不名誉なことであり、意図的にブラウン大尉の戦果ということにしたという見方[誰によって?]もある。

飛行船に吊るされた最初の寄生戦闘機(パラサイト・ファイター)の実験に用いられた。

アメリカ軍も使用したが、操縦の難しさゆえに事故を起こすパイロットが後を絶たず「パイロット・キラー」と呼ばれた。

実際、意図せぬ機首上げ・機首下げをすることも多く、結果として墜落事故が多発する。それが「ビクトリアクロス(最高位勲章)、レッドクロス(赤十字=病院送り)、ウッデンクロス(墓標=墓場行き)の3つの十字を授ける」と言われた所以である。

ピーナッツ』のキャラクターであるスヌーピーが、自らの犬小屋の屋根に跨がって「第一次世界大戦の撃墜王」として操縦しているつもりになっているのはこの機である。ベトナム戦争の激化とともに操縦シーンの描写は封印されたが[2]、2015年10月22日にデルタ航空がスヌーピーに対して名誉パイロットの称号を贈った[3]

運用者

性能諸元(F.1)

Orthographically projected diagram of the Sopwith camel.

諸元

  • 乗員: 1
  • 全長: 5.71 m (18 ft 9 in)
  • 全高: 2.59 m (8 ft 6 in)
  • 翼幅: 8.53 m(26 ft 11 in)
  • 翼面積: 21.46 m2 (231 ft2
  • 空虚重量: 420 kg (930 lb)
  • 運用時重量: 660 kg (1,455 lb)
  • 動力: クレルジェ 9B 星型9気筒ロータリーエンジン、97 kW (130 hp) × 1

性能

  • 最大速度: 185 km/h
  • 失速速度: 77 km/h
  • フェリー飛行時航続距離: 485 km (300 mi)
  • 航続距離: 455 km
  • 実用上昇限度: 6,400 m (21,000 ft)
  • 上昇率: 5.5 m/s (1,085 ft/min)
  • 翼面荷重: 30.8 kg/m2 (6.3 lb/ft2
  • 馬力荷重(プロペラ): 150 W/kg (0.09 hp/lb)

武装

  • 固定武装: ビッカーズ社製7.7mm機関銃 ×2
使用されている単位の解説はウィキプロジェクト 航空/物理単位をご覧ください。

出典

参考文献

  • 『航空機名鑑 第一次大戦・大戦間編』pp.48-49。コーエー、2001年10月2日発行、ISBN 4-87719-721-4
  • 『萌える!戦闘機図鑑』pp.44-45。関賢太郎、双葉社、2014年6月22日発行、ISBN 978-4-575-30688-0
  • 古田和輝『世界の戦闘機図鑑 1915-1945』株式会社ダイアプレス、2022年4月1日。 

脚注

関連項目

同時代の同等機

著名な搭乗者

外部リンク


ソッピース キャメル

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/11 19:54 UTC 版)

飛行機の歴史」の記事における「ソッピース キャメル」の解説

初飛行1916年最大速度185 km/時。同調式機銃発射装置備え、大馬力エンジン装備し運動性の良い(舵の効き良いイギリス複葉機主力機として5,400生産された。

※この「ソッピース キャメル」の解説は、「飛行機の歴史」の解説の一部です。
「ソッピース キャメル」を含む「飛行機の歴史」の記事については、「飛行機の歴史」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「ソッピースキャメル」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ

「ソッピース キャメル」の例文・使い方・用例・文例

Weblio日本語例文用例辞書はプログラムで機械的に例文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。



固有名詞の分類


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「ソッピースキャメル」の関連用語

ソッピースキャメルのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



ソッピースキャメルのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのソッピース キャメル (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaの飛行機の歴史 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。
Tanaka Corpusのコンテンツは、特に明示されている場合を除いて、次のライセンスに従います:
 Creative Commons Attribution (CC-BY) 2.0 France.
この対訳データはCreative Commons Attribution 3.0 Unportedでライセンスされています。
浜島書店 Catch a Wave
Copyright © 1995-2025 Hamajima Shoten, Publishers. All rights reserved.
株式会社ベネッセコーポレーション株式会社ベネッセコーポレーション
Copyright © Benesse Holdings, Inc. All rights reserved.
研究社研究社
Copyright (c) 1995-2025 Kenkyusha Co., Ltd. All rights reserved.
日本語WordNet日本語WordNet
日本語ワードネット1.1版 (C) 情報通信研究機構, 2009-2010 License All rights reserved.
WordNet 3.0 Copyright 2006 by Princeton University. All rights reserved. License
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
「斎藤和英大辞典」斎藤秀三郎著、日外アソシエーツ辞書編集部編
EDRDGEDRDG
This page uses the JMdict dictionary files. These files are the property of the Electronic Dictionary Research and Development Group, and are used in conformance with the Group's licence.

©2025 GRAS Group, Inc.RSS