セレウス菌感染症
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/05/20 19:52 UTC 版)
汚染された食物の摂食により発生する感染性胃腸炎(食中毒症状)と、血液中に菌が侵入し発症する菌血症(大部分の感染はほぼ無症状)がある。菌血症を起こしただけではほとんど発症せず、乳幼児や高齢者など抵抗力の弱い者が時折敗血症まで病状が進行した時のみ死亡例まで発展する場合がある。セレウス菌が起こす食中毒は毒素系食中毒なので、なっても免疫はつかず、何度でも感染発症する。汚染された食物を臭いや見かけで判別することはできない。休止状態の芽胞を加熱や胃酸では完全に不活性化することが出来ず、嘔吐型毒素は更に耐性を持つ(下痢型毒素は熱で容易に不活性化を起こす)。毒素の量が増えてしまった食品は再加熱しても食中毒を起こすので、本菌での食中毒予防法として発芽と増殖の抑制が非常に重要になる(例:調理済みの食品は10 - 50℃で保存しないなど)。本菌によって引き起こされる食中毒は、菌が体内で増殖し多量の毒素を排出して発症する下痢型と、食品中で増殖した菌が生産する毒素を大量に摂取して発症する嘔吐型の2つに別けられる。日本での発生例の大部分は嘔吐型食中毒である。平成11年(1999年)の日本全国の食中毒事件は総数2,697件で、35,214人の患者が発生した。この内、セレウス菌による食中毒は11件(全体の0.4%)、患者総数では59人(全体の0.2%)であった。食品衛生法第27条によって保健所への届け出が義務づけられている。下痢原性毒素は加熱やpH4以下の酸(胃酸)などで不活化されやすく、食中毒症状は一般に軽いため 1 - 2日程度で回復し、人から人へは感染しない。
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