スペースシャトルとの違い
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/06 03:00 UTC 版)
「ブラン (オービタ)」の記事における「スペースシャトルとの違い」の解説
オービタの形状こそ似ているものの、スペースシャトルとブランの打ち上げシステムは全く異なっている。 スペースシャトルは、最終的に地球周回軌道に乗るオービタ自身が、(後述するようにそれだけでは離床はできないが)高性能なメインエンジンであるSSMEを備えている。一見ではメインロケットのようにも見える、中央の大きな赤茶色の円筒は燃料をオービタに供給する外部燃料タンクであり、その尾部にはエンジンは付いていない。高性能だが推力が足りないことから離床時には左右2本の固体ロケットブースタによるブーストを利用するが、ブースタは発射から約2分後に切り離される。その後さらに約7分間は前述のタンクから燃料と酸化剤の供給を受けたSSMEの全開運転で加速される。 一方のブランでは、オービタにはそのような大きなエンジンは備わっていない。同時に開発された大型ロケット「エネルギア」に軌道まで運んでもらい、その間は自ら推力を発生することなく、ぶら下がっているだけである。後部についているのはメインエンジンではなく、他の宇宙船にもある逆噴射ロケットであり、大きな出力はない。 このシステムでは、スペースシャトルのメインエンジンに相当する大型のロケットエンジンを装備しない分、ロケットエンジン自身の重量と燃料タンクがなくなるのでオービタの自量が軽くなり、積載量が多くなるほか、着陸時の速度を下げることができるのでスペースシャトルより安全に大気圏再突入ができる。その一方で、メインエンジンを再使用できないという欠点もある。 緊急脱出システムを持たないスペースシャトルと違い、ブランには搭乗人員全員分の射出座席を搭載し、また主エンジンを搭載していないためにロケットの不調の際にはエネルギアを切り離し、姿勢制御エンジンなどを用いて自力で滑走路に帰還することもできるようになっていた。
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