スパイ衛星の運用とターゲッティッド・キリングへの関与
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/05/26 02:09 UTC 版)
「RAFメンウィズヒル」の記事における「スパイ衛星の運用とターゲッティッド・キリングへの関与」の解説
2016年9月6日にザ・インターセプトに掲載された、エドワード・スノーデンがリークした一連の秘密資料によって、メンウィズヒルのスパイ衛星の運用の実態と、対テロ戦争における中東(特にイエメン)でのドローンを用いたターゲッティッド・キリングへの関与の一端が暴露されることになった。 これらの資料のうち、特に、"NSA SIDToday: (S//SI//REL TO USA, FVYE) Two New Collection Assets to Greatly Expand MHS Target Coverage - January 2009" という題名の資料は、NSAの職員向けの内部ジャーナルであるが、新しくORION衛星とNEMESIS衛星の各々1基が、メンウィズヒルの制御下に置かれることを紹介する内容である。 この資料とアマチュア観測者達の観測データを照合することにより、記事中の「ORION衛星」とは静止軌道上で諜報活動を行っている米国のシギント(信号諜報)偵察衛星(スパイ衛星)のUSA-202(通称:メンター4)のことであり、「NEMESIS衛星」は同じくUSA-207(ネメシス1、通称:PAN)のことであることが判明している。 これらの資料によれば、メンター4は、2009年1月18日の打上げ直後は、静止軌道上、東経100°付近に位置しており、オーストラリアに設置された、米豪共同運用のスパイ衛星コントロール用の地球局施設であるパインギャップ局(Pine Gap)がコントロールを受け持っていたが、1日に約0.8°の速度でゆっくりと西進し、約60日後に今度はメンウィズヒルがコントロールを引き継いでいる。 メンター4はゆっくり西進しながら、約30から45日間にわたって、中華人民共和国内のマイクロ波通信の見通し線の延長線の位置を探っていた。さらに西進して東経44°に到し、今度はアラブ首長国連邦(UAE)の通信衛星であるThuraya 2に忍び寄って、VSATシステムであるスラーヤ (Thuraya) 衛星電話システムの盗聴を行っている。この時は、イラク、シリア、レバノン、イラン、パキスタン、アフガニスタンなど、中東地域にある約5000局のVSAT子局を傍受の対象にし、その位置を特定することに成功している。メンター4は東経44°に到着後はそこを定位置にしている。メンター4の到着後、今度は本来その位置に配備されていたメンター2が、1日に0.1°程度のゆっくりした速度で西進を開始し、最終的には西経14.5°に到達してそこを定位置にし、中東、北アフリカ、ラテンアメリカの通信傍受を行っている。 このようなアクティブな移動と、他国の通信衛星に忍び寄っての盗聴行為は、ネメシス衛星の本来業務であり、メンター4の行動は他のメンター衛星と比べれば特異である。ネメシス1衛星の配備後は Thuraya 2 衛星の盗聴は、ネメシス1に引き継がれている。 メンウィズヒルは、ターゲッティッド・キリングにおいては、メンター4衛星とネメシス1衛星を含むスパイ衛星の運用を担当し、収集された通信情報などを用いた分析によって、ターゲットにされたテロ組織の幹部等の現在位置を特定するゴーストハンター作戦(Operation GHOSTHUNTER)において、中心的な役割を果たしていたことも明らかになっている。
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