スケールの由来と発展
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/18 09:34 UTC 版)
「藤田スケール」の記事における「スケールの由来と発展」の解説
藤田が提唱したスケールの原型はF0からF12までの13階級であった。これは、ビューフォート風力階級やマッハ数との互換性を保つために考慮した上での措置であった。F1で定義された風速の範囲がビューフォート風力階級の風力12に対応する一方で、藤田スケールの最高階級であるF12の風速は、マッハ1.0に相当する(右図)。さらに、F0は被害がない状況を想定した階級である(なお、風速について言えば、おおよそビューフォート階級の風力8に相当する)。これと比較すると、ビューフォート階級の風力0の状態がいかに無風であるかについて理解できる。これらの風力値から、藤田スケールの階級ごとに充てられる、被害について記述した定性的な説明文が作成され、そして、それらの文章を用いてトルネードが分類される。 藤田がトルネードのスケールを着想した当時、風によってもたらされる損害に関する情報はわずかであった。そのため、藤田のスケールが試みた具体的な被害状況の記述は経験的な推測による内容にすぎなかった。藤田は、現実に地球上で発生し得る竜巻の分類には、F0からF5までが実用的だろうと考えた。しかしながら、将来的に竜巻の被害分析手法がさらに発展した暁に、藤田スケールが再び使用される可能性があることを見越して、「想像もつかないほどの竜巻(Inconceivable tornado)」としながらも、藤田はF6の定義を付け加えた。 「非常に深刻なF5の竜巻被害」が記録されてきた一方で「F6」の概念に該当する規模の竜巻は公式には記録されていないが、1974年にオハイオ州ジーニアに被害をもたらした事例は「F6±1」と記載され、1999年のオクラホマシティでの記録は最大風速が時速521kmで「F6」に該当するという意見も見られ、2013年にオクラホマ州のエル・レノで発生した竜巻の最大風速は時速541kmだった(エル・レノは2011年にも最大風速が時速476kmの竜巻の被害があり、これら1999年・2011年・2013年の各竜巻は地球上で記録されてきた風速記録のワースト3である)。2013年ムーア竜巻は改良藤田スケールが導入されて以降の最大記録の一つであり、上記の1999年の竜巻と威力や進路が類似している。
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