システム化の進展と浅海域への回帰 (1980年代〜)
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パッシブ・オペレーションにおいては、艦装備のソナーのほか、艦載ヘリコプターが敷設するソノブイおよび艦装備の曳航ソナー(TASS)が重要なセンサーとなるが、潜水艦捜索海面の広域化に伴い、これら各センサーの探知情報を統合する必要性が増大した。 これに応じて開発された水上艦用のシステムがAN/SQQ-89であり、その開発はASW-CSI (対潜戦闘システム統合)計画のもとで開始された。研究開発は1976年に開始され、コンセプト開発は1979年に完了した。1981年にはジェネラル・エレクトリック社に対して全規模開発が発注され、1986年1月より、「ムースブラッガー」(DD-980)の艦上にて運用試験が開始された。 一方、この時期には潜水艦の静粛性がさらに強化されるのに伴って、パッシブ・ソナーによる長距離探知に限界が生じていた。また冷戦構造崩壊に伴う情勢変化により、低強度紛争(LIC)および戦争以外の軍事作戦(MOOTW)の頻度が増え、浅海域での作戦が重視されるようになったが、このような作戦海域においてはパッシブ・オペレーションによる広域捜索の優位度が下がることもあり、アクティブ・ソナーもある程度の復権を果たすこととなった。これに伴い、上記のようなシステム化、ネットワーク中心の戦いコンセプトとあわせて、陸上のバイスタティック・レーダーと同様、地理的に分散配置された探信儀と受信機を連動させることで効果を増幅させる技術も研究されるようになった。探信儀と受信機を一組として用いる場合はバイスタティック・ソナー、複数の探信儀と複数の受信機を用いる場合はマルチスタティック・ソナーと称される。 アメリカ海軍では潜水艦を長期間探索し続ける対潜無人艦(ACTUV : Anti-Submarine Warfare Continuous Trail Unmanned Vehicle)の研究を進めており、実証実験のためシー・ハンター (実験艇)を開発した。
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