サーボとセルシン
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/06 05:39 UTC 版)
完全な自動化への障壁の1つは工作工程の許容誤差の問題であり、一般にサウ(1/1000インチ)単位の精度が要求される。パンチカードなどの記憶装置を接続して制御することは可能だとしても、要求された精度で正しい位置取りができると保証するのは別の問題だった。工作機械の動作は必ずしも線形に力が働くわけではなく、線形に制御を出力してもそれが工作機械の線形な動作になるとは限らない。この領域で鍵となったのはサーボ機構の開発であり、それによって正確な測定情報が得られるようになった。2つのサーボ機構を組み合わせるとセルシン(シンクロサーボ機構)となり、遠隔のサーボの動きが正確にもう一方のサーボに伝わる。様々な機械システムや電気システムを使ってセルシンの出力を読み取り、正確に動いたことを確認できる。 セルシンが機械制御に使えるのではないかと最初に示唆したのは、ゼネラル・エレクトリック (GE) で働いていたスウェーデン人移民のアーンスト・アレキサンダーソンだった。アレキサンダーソンは機械式計算機の小さな出力のトルクを増幅して巨大なモーターを制御する方法を研究していた。GEはこれをアメリカ海軍の軍艦で用いる照準システムに応用しようとしていた。工作機械と同様、砲塔の照準移動には非常に高い精度を要求され、しかも砲塔の動きは線形ではない。1931年11月、アレキサンダーソンは産業技術部門に同じシステムを工作機械への入力に使えるのではないか、そうすれば Keller Machine のようにテンプレートをなぞる際に強い力を必要としないだろう、と示唆した。彼はこれを「単純な技術開発の問題」だと述べた。しかしその概念は当時の事業計画のずっと先を行くもので、GEは何年もこれをまともに検討しなかった。そのため、他者がそれに先駆けることになった。
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