サンタクロースとしてのトムテ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/04/28 21:04 UTC 版)
「トムテ」の記事における「サンタクロースとしてのトムテ」の解説
スウェーデンでは、サンタクロースは、ユールトムテ(クリスマスのトムテ)として知られている。元々サンタクロースのモデルは聖ニコラウスであり、北欧の森に住むトムテとは何ら関わりがなかった。しかしスウェーデンがキリスト教化された後、土着の伝統とキリスト教会の教えを合体させるようになり、元々異教徒の冬至の祭であったユールが、クリスマスとなって行ったのである。スウェーデンのユールは、12月13日の聖ルチア祭の日から始まり、独自性に富んでいる。ユールのディナーの後の記念撮影には、家族の誰かが扮装したトムテも納まっている。 キリスト教化後、トムテは悪魔とみなされ、闇の世界の神々と交信しあうと考えられた。14世紀の聖ビルギッタは「トムテ神」を崇めることに対し、警告さえ行った。農地にトムテがいることは魔術を行っているのと同等とみなされた。もし農夫が富を得た場合は、夜の間にトムテが他の農夫から物を盗んで、その農夫を豊かにしているのだと考えられたのである。 20世紀に入ると、かつてとは違った形でトムテは名声を取り戻した。アメリカ文化の影響、特に商業主義的なクリスマスの文化の影響を受けて、スウェーデンにおけるサンタクロースのイメージを与えられ、ユールトムテと呼ばれるようになったのである。またトムテは夜の間に子供たちにプレゼントを配るが、こっそり配るのではなく、直に子供たちに渡す。トムテの移動手段はサンタクロースが乗っているようなソリで、トナカイが引いているとも、ヤギの引くソリで、子供たちにプレゼントを配るともされる。キリスト教化以前は、トールが2頭のヤギが引く馬車に乗って、空を横切ってくると信じられていた。馬車につながれたオスのヤギは、聖者ニコラスによって征服された魔王の象徴で、子供たちに贈り物をする主人に同行する定めとなっている。今はこのヤギも藁で作られ、親しみのあるユールのシンボルとなっている。 優しくていたずら好きなトムテは、時代によっては悪魔とみなされたが、現在では最も愛されるユールの妖精となっている。時の流れと共に多くの神話の神々や妖精は、独自性や存在することの意味を失ったが、その存在を忘れられなかった者もいた。トムテはそのような神々や妖精の1人なのである。
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