ゴサマー環の起源
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/16 15:35 UTC 版)
ゴサマー環の塵は、本質的に主環やハロ環と同じ起源であり、その源は、それぞれ木星の衛星アマルテアとテーベである。木星系から来た天体の高速の衝突で、その表面から塵の粒子が放出される。これらの粒子は、当初は衛星と同じ軌道に留まっているが、ポインティング・ロバートソン効果により、徐々に螺旋状に内側に向って遷移する。ゴサマー環の厚さは、衛星の軌道傾斜角に起因する垂直方向への偏位運動によって決まった。この仮説は、環の断面積や木星に向かって厚さが減少すること、環の上下端が明るいこと等、観測されるほとんど全ての性質を自然に説明する。 しかし、Thebe Extensionの存在や後方散乱で見える構造等、いくつかの性質は説明がついていない。Thebe Extensionの1つの可能な説明は、木星の重力圏の電磁力の影響である。塵が木星の後の影に入ると、すぐにその電荷を失う。小さな塵の粒子は、部分的に惑星の自転と同期しているため、影を通る間は、外側に向かって移動し、テーベ・ゴサマー環の外側に広がるというものである。同じ作用で、アマルテアとテーベの軌道の間で、粒子径の分布や環の明るさが小さいことも説明できる。 アマルテアの軌道のすぐ内側にある明るさのピークやアマルテア・ゴサマー環の垂直方向の非対称性は、衛星のラグランジュ点 に粒子が捕捉されることによる。テーベ・ゴサマー環でも同様である。この発見は、ゴサマー環内の粒子の運動が2種類に分けられることを示唆している。1つは、上記のように木星に向かってゆっくりと漂うもので、もう1つは、衛星との1:1の軌道付近に留まるものである。
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