コロンビアとメキシコの協力
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/16 09:45 UTC 版)
「メキシコ麻薬戦争」の記事における「コロンビアとメキシコの協力」の解説
コロンビアの組織は、メキシコの密売人たちと協力関係を結び、メキシコ経由でアメリカにコカインを輸送することを試み、成功した。アメリカ=メキシコ国境は、全長3,141kmにも及び、国境上にはリオグランデ川、ソノラ砂漠、国境都市が存在する。そのうえ、年間数億人が横断する国境では、麻薬の密輸を完全に防ぐことは、極めて困難である。 こうした条件が、コロンビアからメキシコを経由してアメリカへと密輸されるルートの確立を可能にした。現在では、カリブ海ルートよりも、この米墨国境ルートを用いた麻薬密輸が大半を占め、アメリカで流通するコカインの9割はメキシコを経由していると言われている 。 メキシコが長くヘロインと大麻の主要生産地であったこともありこの協力は簡単に成功し、メキシコの麻薬密売人たちよってコロンビアの商人が利用するための活動基盤が既に整っていた。1980年代中頃までにメキシコの密売組織は、コロンビアからのコカインの輸送者として安定した信頼を得ていた。始めはメキシコのギャング達は密輸サービスの対価として現金を受け取っていたが、1980年代後期になるとメキシコの輸送組織とコロンビアの麻薬密売人は支払協定に同意し、メキシコの輸送組織にはコカインの出荷量の35から50 %が与えられるようになった。 この取り決めは、メキシコの組織がコカインの輸送のみならず販売にまでも関わるようになったことを意味しており、自らの権利のための強力な商人となったことを意味している。現在では、シナロア・カルテルとガルフ・カルテルは世界的な密売コカインの市場までをもコロンビアから買収するまでに至っている。 時間と共にメキシコの様々な麻薬カルテル間の力の均衡は変化しており、新興勢力の台頭と古い勢力の衰退が起こっている。カルテルのリーダーの死亡や逮捕等による組織の混乱が起こると、それによって生じる力の空白を利用しようとライバル組織が動いて流血が引き起こされる。指導者の空白状態は特定のカルテルに対する法の執行によって作り出される。 このため、カルテルはメキシコの司法当局を買収してライバルのカルテルに対する訴訟を起こさせたり、メキシコ政府やアメリカの麻薬取締局 (DEA)にライバルのカルテルの情報を漏洩するなどして、互いに法の執行を利用しようとしている。
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