コマンド選択方式の登場とRPGへの融合
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/03 23:48 UTC 版)
「アドベンチャーゲーム」の記事における「コマンド選択方式の登場とRPGへの融合」の解説
アメリカでは、大作『タイムゾーン』に見られるように、コマンド入力方式のゲームは成熟を迎えた。コマンド入力方式の次に開発されたものは、『King's Quest(英語版)』を始めとする、二次元画面内でキャラクタを移動させつつゲームを進行させる方式であった。この方式は、アメリカでは複数のソフトが開発され、『ミシシッピー殺人事件』など一部が日本にも紹介されたが、日本では『ハイドライドシリーズ』に代表されるアクションRPGが独自の発展を遂げており、キャラクター移動方式はこれに準じた形で発展していった。なお、『King's Quest』のように三人称視点でキャラクターの移動先を間接的に指示して操作するタイプの国産アドベンチャーゲームは、『東京トワイライトバスターズ』『クロックタワー』シリーズなど、少数ながら制作されている。 日本ではコマンド入力方式の限界が、キャラクター移動方式とは異なるアプローチからも打ち破られた。それは、コマンドを単語として入力する代わりに、事前に用意されたコマンドを画面に提示してユーザーに選択させるもので、コマンド選択方式と呼ばれる。これを最初に採用したソフトは『北海道連鎖殺人 オホーツクに消ゆ』である。コマンド選択方式は広く受け入れられ、コマンド入力方式を瞬く間に駆逐していった。また、コマンド選択方式では、キーボードを持たないコンシューマー機への移植も容易となる。『ポートピア連続殺人事件』はコマンド選択方式へと作り直され、ファミリーコンピュータにも移植された(1985年)。これは初の家庭用ゲーム機用アドベンチャーゲームである。 しかし、コマンド選択方式はその性質上、ごく限られたコマンド選択の組み合わせしかユーザーに提示できなかった。そのため、どんなに凝ったシナリオを作製しても、ごく短時間でユーザーが攻略を終えてしまう別の問題を抱え込むこととなった。すなわち、言葉探しによる時間稼ぎが通用しなくなったのである。 一方で、日本においてはアクションRPGを含め、コンピュータRPG全体がストーリーを色濃くする方向へと発展していた。そして、RPGはコマンド選択方式アドベンチャーのプレイ時間の問題を、キャラクターの移動や経験値稼ぎによって自然な形で解消することが可能だった。その結果、徐々にコマンド選択方式も用いられなくなり、アドベンチャーゲームはRPGに吸収される形となった。こうした作品の代表には『イース』『ドラゴンクエスト』が挙げられる。これらの作品では、キャラクターの成長を楽しむといったRPGの特性と、ストーリー進行を楽しむアドベンチャーゲームの特性がうまく融合されている。
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