ゲノムと生態
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2016/09/29 04:31 UTC 版)
「Candidatus Desulforudis audaxviator」の記事における「ゲノムと生態」の解説
D. audaxviator の栄養源は先述の通り全てが無機的に生成した無機物である。また、地下に生息しているため当然ながら光合成に頼っていない。このため栄養的分類では、D. audaxviator は化学合成無機独立栄養生物に属する。自力で窒素固定を行ったり、硫酸イオンを還元する能力は通常は古細菌に見られるものであるが、D. audaxviator は真正細菌に分類される。ゲノム解析を行った結果、D. audaxviator は古細菌の遺伝子を持っていることが分かった。これは、遺伝子の水平伝播によって D. audaxviator が古細菌の遺伝子を獲得したためと推定されている。 また、同じく古細菌から獲得した遺伝子の中には、D. audaxviator 固有の自己防衛システムがある。これによって、D. audaxviator は極度の乾燥・熱・飢餓・化学攻撃からDNAとRNAを保護している。逆に酸素に耐性を持つ機構の遺伝子は持っていない。 D. audaxviator のゲノムサイズは234万9476塩基対であり、オープンリーディングフレーム (ORF) は2157である。このような極限環境に生息する生物の多くは、貧栄養下の環境においてエネルギー消費を省くために遺伝子がコンパクトにまとまっており、典型的なORFのサイズは約1500である。この事を考慮すると、D. audaxviator のORFは大きい。これは先述の通り、古細菌の遺伝子を持っているためである。 D. audaxviator は数μmの棒状の形状をしており、これが学名の由来にもなっている。他の細菌と同じく鞭毛を持っており、これを使って水中を泳ぐことが出来る。
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