クルアーンにおけるサービア教徒
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/25 20:13 UTC 版)
「サービア教徒」の記事における「クルアーンにおけるサービア教徒」の解説
サービア教徒はクルアーン中の三箇所で、以下のように啓典の民のひとつとして名を挙げられているが、クルアーンのいうところの「サービア教徒」が、いかなる宗教に属する人々を指した(意図していた)のかは謎とされる。なお、引用文中ではサービア教徒は「サバ人」と表記されている。 まことに、信仰ある人々、ユダヤ教を奉ずる人々、キリスト教徒、それにサバ人など、誰であれアッラーを信仰し、最後の日を信じ、正しいことを行なう者、そのような者はやがて主から御褒美を頂戴するであろう。彼らには何も恐ろしいことは起りはせぬ。決して悲しい目にも逢うことはない。 — 『クルアーン』カイロ版2章62節、フリューゲル版2章59節、井筒俊彦訳『コーラン』(上)、岩波書店、1957年、p.21。 まことに、信仰ある人々、ユダヤ教を奉ずる人々、サバ人、キリスト教徒、すべてアッラーと最後の日を信じて義しい行いをなす者、すべてこの人々は何の怖ろしい目にも遇いはせぬ、悲しい目にも遇いはせぬ。 — 『クルアーン』カイロ版5章69節、フリューゲル版5章73節、井筒俊彦訳『コーラン』(上)、岩波書店、1957年、p.159。 信仰する人々、ユダヤ教を奉ずる人々、サバ人、キリスト教徒、拝火教徒、多神教徒――復活の日が来れば、アッラーが必ずこれらの間にはっきりした区別をつけ給う。アッラーはあらゆることに立ち会って一切をみそなわし給う。 — 『クルアーン』カイロ版22章17節、フリューゲル版22章17節、井筒俊彦訳『コーラン』(中)、岩波書店、1958年、p.169。 古代南アラビアのサバア王国(Sheba)に関連づける説もあるが、より有力視されるのは、イスラーム成立当時のイラク南部に存在したと見られるグノーシス的なキリスト教の一分派、あるいはマンダ教徒をサービア教徒にあてる見解である。 いずれにせよ、アラビア語で「サービア教徒」(صابئی)という名詞を構成するص、ب、ع ( s - b - ' )という三つの語根の組み合わせが「水に漬ける」、「水に浸す」などの意味を持つため、クルアーンの指す「サービア教徒」は何らかの洗礼儀礼を持っていたと考えられる。古い文献にはサービア教徒を星辰崇拝者とする記述もあるが、これは後述するハッラーンの「偽サービア教徒」との混同によると思われる。
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