クルアーンのみへの適用
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/06 15:06 UTC 版)
「ハディース批判」の記事における「クルアーンのみへの適用」の解説
ムスリムに対し、ムハンマドへの従順と模倣を求めるクルアーンの章句は、預言者と同時代の人々にのみ適用されるという議論に関連して、現代のムスリムにとって「ハディースが不要であるだけでなく、その基礎となるスンナでさえも不要」だとする考えがある。クルアーンはすべてを説明するもの(16:89)であり、ムハンマドへの従順とは、神がムハンマドに下した啓典であるクルアーンに服従することであるとする。「われは啓典と英知をあなたがたに授ける...」とクルアーン(3:81)にあるが、「啓典」がクルアーンで、「英知」がハディースであるという一般的解釈は正しくないとする。クルアーンはそのままで明確かつ完全であり、ハディースは必要ないという「クルアーン主義」の主張を裏付けるために、引用されるクルアーンの節は以下の通りである。 6:114、7:52、10:37では、「詳細に説明された」「知識と共に詳細を述べた」「啓典の解明」 6:115では、 「…真実公正に完成された」 12:111では、「…これ(クルアーン)は捏造された言い伝え(ハディース)ではなく、すでに存在するものの証であり、あらゆるものの詳細な解明であり…」 6:38 「啓典の中には一事でも,われが疎かにしたものはない」 29:18 「使徒(ムハンマド)の唯一の責務とは、啓示の伝達に他ならない」 この考え方は、ハディースを神学的に否定した(その信憑性にも疑問を呈した)イスラム2世紀のアハル・カラーム運動にまで遡り、ムハンマド・タウフィーク・スィドキーも賛同し「もしクルアーン以外のものが宗教に必要であったならば... 預言者はその記録を文書で行うことを命じただろうし、神はその保存を保証しただろう」と記した。 また、クルアーン29章18節では、使徒であるムハンマドに従う事とは,使徒が伝達した啓示、つまりクルアーンに従う事であるとも明確に述べられている。 この思想よりも穏便な考え方としては、「ハディースがクルアーンの内容と確執する場合は、その伝承経路にかかわらず、すべて廃棄されるべきである」というものである。つまり、その場合クルアーンはハディースを「無効化」するというものである。
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