クリス・ヤング (投手)とは? わかりやすく解説

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クリス・ヤング (投手)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/07/19 04:42 UTC 版)

クリス・ヤング
Chris Young
テキサス・レンジャーズ ゼネラルマネージャー
基本情報
国籍 アメリカ合衆国
出身地 テキサス州ダラス
生年月日 (1979-05-25) 1979年5月25日(46歳)
身長
体重
6' 10" =約208.3 cm
260 lb =約117.9 kg
選手情報
投球・打席 右投右打
ポジション 投手
プロ入り 2000年 MLBドラフト3巡目(全体89位)でピッツバーグ・パイレーツから指名
初出場 2004年8月24日
最終出場 2017年6月17日
経歴(括弧内はプロチーム在籍年度)

クリストファー・ライアン・ヤングChristopher Ryan Young, 1979年5月25日 - )は、アメリカ合衆国テキサス州ダラス出身のプロ野球選手投手)。右投右打。現在はテキサス・レンジャーズゼネラルマネージャーを務めている。

経歴

アマチュア時代からメジャー定着まで

アイビー・リーグの名門プリンストン大学政治学を専攻していたクリスは、野球、バスケットボールの両方で新人王を獲得するなど優れたアスリートであった。3年次の2000年MLBドラフト3巡目(全体89位)でピッツバーグ・パイレーツから指名を受けたがすぐには契約せず、勉強を続けながら学位を取得してもよいという確約を得た9月6日にパイレーツと契約した。3年生一杯は大学にとどまり、4年次はスプリングトレーニングにレポートを持ち込み、移動のバス内で論文を書くといった慌しさが5月の卒業まで続いた[1]。この年は夏に傘下のA級ヒッコリー・クロウダッズに合流したため12試合の先発に終わった。翌2002年はA級ヒッコリーで26試合に先発し11勝9敗・防御率3.10の成績であった。

2002年12月20日マット・ハージェスとのトレードで、もう一人のマイナー選手と共にモントリオール・エクスポズへ移籍する。だがハージェスは翌2003年の開幕直前に解雇され、ヤングはただで放出された形になった[2]。しかもハージェスはこのシーズン、サンディエゴ・パドレスサンフランシスコ・ジャイアンツで67試合に出場している[3]

2004年4月3日テキサス・レンジャーズへトレードされ、AA級フリスコ・ラフライダーズ、AAA級オクラホマ・レッドホークスで投げた後、8月24日ミネソタ・ツインズ戦でメジャーデビューを果たした。この年は7試合に登板し、3勝2敗という成績を残した。まだAA級フリスコに在籍していた時にNBAサクラメント・キングスから2年契約を提示されるが、断わっている[4]2005年は開幕から先発ローテーションに入り、投手に不利な球場を本拠地とするレンジャーズにあって、防御率4.26、エド・コーリアケビン・ブラウンに並ぶ球団新人最多勝利数となる12勝をマークした[5]

パドレス時代

2006年1月6日大塚晶則アダム・イートン、ビリー・キリアンとのトレードで、エイドリアン・ゴンザレスターメル・スレッジと共にパドレスへ移籍する。5月30日コロラド・ロッキーズ戦では7回までノーヒットノーランに抑えていたが、8回の先頭打者ブラッド・ホープに二塁打を打たれ、記録達成はならなかった[6]クアーズ・フィールドでのノーヒッターとなれば1996年野茂英雄以来の快挙となるところであった。さらに9月22日のパイレーツ戦では、ホセ・バティスタを四球で出した後に代打ジョー・ランダに2点本塁打を打たれてしまったが、8回1/3までノーヒットノーランという快投をみせる[7]。シーズンを通しては勝ち星こそ11勝に減ったが、リーグ6位となる防御率3.46と、リーグトップとなる被打率.206という成績を残した。メジャー屈指の投手天国とされるペトコ・パークで5勝5敗・防御率4.60、18被本塁打と成績を残せなかった一方、アウェイでは6勝0敗・防御率2.41、10被本塁打と、どの部門でもホームよりも優れた数字を記録している。シーズンオフに行われた日米野球では代表メンバーとして来日し、2試合に登板した。この際に"Chris Young's Japan Blog"をMLB公式ホームページに寄稿していた[8]

2007年4月10日、2010年までの4年1,450万ドル(2011年は球団オプション)で契約延長した[9]6月16日シカゴ・カブス戦にてデレク・リーの頭部に死球を与えてしまう。この後ヤングが発した言葉にリーが激高し、両軍入り乱れての乱闘騒ぎになるという事件があった。これにより二人には罰金と5試合の出場停止処分が言い渡された。シーズン序盤から好調でオールスター前までで8勝を挙げていたが、7月24日のロッキーズ戦の2回に斜紋筋を痛めて故障者リスト入りしてしまう[10]。この時点ではメジャートップの防御率1.82であった[11]8月9日セントルイス・カージナルス戦で復帰したが、復帰後は大量失点の試合が増え7月19日に挙げた9勝目を最後に勝つ事はできなかった。なお、この年のオールスターゲームではイチローにMLBオールスター史上唯一のランニング本塁打を浴びている。

2008年は、2度の故障者リスト入りで18試合の登板で、7勝6敗・防御率3.96・93奪三振とパドレス移籍後最低の成績となった。5月21日のカージナルス戦でアルバート・プホルスの打球が顔面を直撃で鼻骨折により、5月22日からシーズン1度目の故障者リスト入り[12]。右前腕を痛め、8月11日から2度目の故障者リスト入り[13]9月7日ミルウォーキー・ブルワーズ戦で初回から打者23人連続で無安打に抑え、被安打2・自責点1でブルワーズを10対1で破りメジャー初完投を達成[14]。また、9月20日のワシントン・ナショナルズ戦でメジャー初本塁打を記録[15]。パドレスは6対1で勝利し、ヤングは勝ち投手となった。

メッツ時代

2011年1月、ヤングは次シーズンに向けてニューヨーク・メッツと1年契約を結んだ[16]。2011年シーズンは、エースのヨハン・サンタナが前シーズンに故障し手術を受けた影響で開幕に間に合わない可能性があったため[17][18]、先発ローテーションの穴を埋める投手の1人として期待された。しかし自身も右肩の故障で手術を受け、4試合の登板に終わってしまった。シーズン終了後の契約延長はなく、10月30日FAとなった。

2012年当初も契約先が決まらずFAであったが、3月26日にメッツとマイナー契約を結び復帰した。シーズン開幕後しばらくはマイナーでのプレーが続いたものの、6月にメジャーに昇格・復帰を果たしている。10月29日にFAとなった。

ナショナルズ傘下時代

2013年2月22日にナショナルズとマイナー契約を結んだが、3月26日に放出された。4月4日にナショナルズと再契約。11月5日にFAとなったが、11月13日にナショナルズとマイナー契約で再契約した。

2014年3月25日に自由契約となった[19]

マリナーズ時代

2014年3月27日シアトル・マリナーズと契約した[20]。この年は、2年ぶりにメジャーで登板した。最終的に12勝をあげてカムバック賞を受賞した。オフにFAとなった。

ロイヤルズ時代

2015年3月7日カンザスシティ・ロイヤルズと1年契約を結んだ[21]。この年は先発とリリーフの両方の役割をこなし、18試合に先発で、16試合にリリーフで登板した。防御率は前年より下がって3.06となり、2年連続で2桁勝利を挙げるなど、活躍した。同年11月2日にFAとなった[22]

2016年も先発とリリーフの両輪で投げ、13試合に先発登板・21試合にリリーフ登板した。ただ投球内容は悪く、いずれも自己ワーストの防御率6.19・28被本塁打を喫し、3勝9敗と大きく負け越した。なお同年、メジャー初セーブを記録した。

2017年6月23日ネフタリ・フェリスの加入に伴ってDFA[23]、翌24日に自由契約となった[19]

引退後

2020年12月、ジョン・ダニエルズの後任でテキサス・レンジャーズゼネラルマネージャーに就任した。

詳細情報

年度別投手成績





















































W
H
I
P
2004 TEX 7 7 0 0 0 3 2 0 0 .600 158 36.1 36 7 10 0 2 27 1 0 21 19 4.71 1.27
2005 31 31 0 0 0 12 7 0 0 .632 700 164.2 162 19 45 2 7 137 3 0 84 78 4.26 1.26
2006 SD 31 31 0 0 0 11 5 0 0 .688 735 179.1 134 28 69 4 6 164 6 1 72 69 3.46 1.13
2007 30 30 0 0 0 9 8 0 0 .529 705 173.0 118 10 72 0 7 167 7 4 66 60 3.12 1.10
2008 18 18 1 0 1 7 6 0 0 .538 434 102.1 84 13 48 4 1 93 3 1 46 45 3.96 1.29
2009 14 14 0 0 0 4 6 0 0 .400 336 76.0 70 12 40 3 2 50 1 0 47 44 5.21 1.45
2010 4 4 0 0 0 2 0 0 0 1.000 82 20.0 10 1 11 0 0 15 1 0 2 2 0.90 1.05
2011 NYM 4 4 0 0 0 1 0 0 0 1.000 95 24.0 12 3 11 0 1 22 0 0 5 5 1.88 0.96
2012 20 20 0 0 0 4 9 0 0 .308 493 115.0 119 16 36 5 2 80 3 0 58 53 4.15 1.35
2014 SEA 30 29 0 0 0 12 9 0 0 .571 688 165.0 143 26 60 3 3 108 5 1 70 67 3.65 1.23
2015 KC 34 18 0 0 0 11 6 0 2 .647 500 123.1 91 16 43 0 0 83 5 0 44 42 3.06 1.09
2016 34 13 0 0 0 3 9 1 2 .250 406 88.2 104 28 43 1 1 94 3 0 63 61 6.19 1.66
2017 14 2 0 0 0 0 0 0 0 .--- 148 30.0 47 7 14 2 1 22 1 0 27 25 7.50 2.03
MLB:13年 271 221 1 0 1 79 67 1 4 .541 5480 1297.2 1130 186 502 24 33 1062 39 7 605 570 3.95 1.26
  • 太字はリーグ1位
  • 2013年は試合出場なし

獲得タイトル・表彰・記録

背番号

  • 49(2004年 - 2005年)
  • 32(2006年 - 2010年、2015年 - 2017年)
  • 55(2011年 - 2012年)
  • 53(2014年)

脚注

  1. ^ Orland, Rachel (2006年12月7日). “No. 5: Chris Young '02”. Daily Princetonian. 2008年2月10日閲覧。
  2. ^ Matt Herges Transactions”. Baseball-Reference.com. 2009年8月14日閲覧。
  3. ^ Matt Herges Statistics -”. Baseball-Reference.com. 2009年8月14日閲覧。
  4. ^ First Person: Chris Young, Padres Starter”. SI.com (2006年9月18日). 2008年2月10日閲覧。
  5. ^ Falkoff, Robert (2005年9月28日). “Rangers' early deficit no problem” (英語). MLB.com. 2010年4月19日閲覧。
  6. ^ Wilson, Bernie (2006年5月31日). “MLB - Colorado Rockies/San Diego Padres Recap Tuesday May 30, 2006”. Yahoo! Sports. 2008年2月10日閲覧。
  7. ^ Wilson, Bernie (2006年9月23日). “MLB - Pittsburgh Pirates/San Diego Padres Recap Friday September 22, 2006”. Yahoo! Sports. 2008年2月10日閲覧。
  8. ^ Chris Young's Japan Blog”. MLB.com. 2008年2月10日閲覧。
  9. ^ Associated Press (2007年4月10日). “Young's four-year deal worth $14.5 million”. ESPN Internet Ventures. 2009年8月14日閲覧。
  10. ^ Associated Press (2007年7月28日). “Padres place Young on DL, call up Stauffer”. 2008年2月10日閲覧。
  11. ^ MLB - San Diego Padres/Colorado Rockies Recap Friday July 24, 2007”. Yahoo! Sports. 2009年8月14日閲覧。
  12. ^ Brock, Corey (2008年5月22日). “Young in good spirits after being struck” (英語). MLB.com. 2009年8月14日閲覧。
  13. ^ Padres place right-handed pitcher Chris Young on the 15-day disabled list” (英語). MLB.com (2008年8月14日). 2009年8月14日閲覧。
  14. ^ Zaccardi, Nick (2008年9月7日). “Young dominant as Padres breeze” (英語). MLB.com. 2009年8月14日閲覧。
  15. ^ Brock, Corey (2008年9月20日). “Young beats Nats with arm, bat” (英語). MLB.com. 2009年8月14日閲覧。
  16. ^ “Mets Reach Agreement With Chris Young” (英語) ニューヨーク・タイムズ紙が配信したヤングのメッツ移籍を報じる記事。デイヴィッド・ワルドスタイン記者の編集記事。2011年1月17日配信・2012年6月24日閲覧。
  17. ^ 「メッツのサンタナが左肩手術 今季の出場は絶望的」 47Newsの記事(共同通信配信分)。
  18. ^ 結局サンタナは、回復が遅れたこともあって2011年シーズンは全休となり、2012年シーズンから復帰している。
  19. ^ a b MLB公式プロフィール参照。2017年6月25日閲覧。
  20. ^ Mariners sign RHP Chris Young to Major League deal”. MLB.com Mariners Press Release (2014年3月27日). 2014年3月28日閲覧。
  21. ^ Crasnick, Jerry (2015年3月7日). “Royals sign Young to 1-year deal”. ESPN. 2015年3月11日閲覧。
  22. ^ Transactions | royals.com” (英語). MLB.com (2015年11月2日). 2015年11月4日閲覧。
  23. ^ Jeffrey Flanagan (2017年6月23日). “Royals agree to deal with Feliz; Young DFA'd” (英語). MLB.com. 2017年6月24日閲覧。

関連項目

外部リンク




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