カンニングの動機
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/26 22:24 UTC 版)
何人かの学者は、学業不正は病気だと主張している。病理学的にみて、学業不正をしてしまう衝動をコントロールできない病気であると。作家のトーマス・マローン(Thomas Mallon)も、多くの学者の盗用は、しばしば盗癖と同じで、病気であると述べている。例えば、サミュエル・テイラー・コールリッジやチャールズ・リード(Charles Reade)は盗用癖があったとしている。盗む行為をやめられない心の病気である。 リチャード・ファス(Richard Fass)は、現実社会でのビジネス・スキャンダルを見るにつけ、不正は社会で成功する1つの方法だと学生が信じている可能性があると提唱している。この場合、高校や大学で学業不正するのは、卒業してから現実社会で成功するための練習だととらえられている。一部の生徒(学生)は、人生は「成功」か「正直」かの2者択一であると考えている。それで、「私は正直が好きだが、しかし、成功するのはもっと好きです」ということになる。反対に、企業倫理が上昇するとビジネス界は衰退すると考える学者もいる。この場合、学業不正は倫理違反だから、学業不正しないようにと訴えても効果がない。 学生の学業不正と、学生の成績は関係ないとも言われている。カンニングの機会を与えられた学生群と与えられなかった学生群で実験してみると、成績に差はなかったという報告がある。しかし、「試験の時にカンニングペーパーをもってきてもいいですよ」と伝えた学生群の成績は上昇しなかった。これらの結果は、カンニングが成績をあげるのに効果がないと答えた男子学生がわずか13%、女子学生も46%しかいなかったという結果と矛盾している。 この「試験の時にカンニングペーパーをもってきても良いとした学生群の成績が上昇しなかった」のを論文は、次のように解釈した。学生は、試験勉強しないで、試験の解答の補助としてカンニングペーパーを使用したのではなく、カンニングペーパーを作るのを試験勉強の1つとしたためだと結論した。 米国では、優秀な成績の学生の3分の1がカンニングしている。不正は成績を上げる近道なので、優秀な成績の学生もカンニングをする。また、盗用したレポートの評価が「低」でも、費やした時間とエネルギーをカウントすれば、実質的な損得評価では得だと考える学生は多い。
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