カバネの成立時期
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/09 09:06 UTC 版)
カバネの前提となる氏(ウヂ)の成立時期は概ね5世紀半ばから6世紀前半とするのが通説である。カバネの成立時期もそれに対応して5世紀半ばから6世紀前半と見るのが一般的である。カバネの成立時期をはっきりと特定できる記録は存在しないため、古記録に登場する人名に付された称号がカバネであるかどうかという見解によって成立時期が研究者によって前後し、稲荷山鉄剣銘に現れる称号をカバネと見て雄略朝期(5世紀後半)の成立を想定する説や6世紀に登場「人」字をカバネと見て、この時期にカバネの成立を想定する説、6世紀後半の「造」の登場をもってカバネの成立と見る阿部武彦の説などがある。一方で、制度的整備が明確に行われたことを重視し、カバネの成立を天武朝における八色の姓の成立時期と見る見解もあり、この場合カバネは7世紀後半に律令制の成立や戸籍(庚午年籍、庚寅年籍)の整備と平行して成立したと説かれる。中村友一によれば、このような時期設定の差異は方法論の差異にも由来しており、金石文を中心とする立場と『日本書紀』の信頼できる年代以降の記述を重視する立場に大別され、それが成立時期に関する見解の差異にも結びついているという。いずれにせよ、こうした制度はある時点で突如完璧に整備されたものとして登場することはありえず、慣習法的なものから段階的・暫時的に成立し改編されながら整備されていったものと考えられ、カバネの成立時期の捉え方には氏姓の研究に対する方法論や観点が影響する。
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