カトリーナの教訓とサンディでの成功
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/05/01 01:17 UTC 版)
「タイムライン (防災)」の記事における「カトリーナの教訓とサンディでの成功」の解説
タイムラインの考え方が生まれる背景にあるのが、2005年8月に起きたアメリカでのハリケーン・カトリーナによる大規模浸水害といわれている。 米南部に上陸したカトリーナは、堤防が決壊したニューオーリンズ市の大部分が水没するなど、全体で1800人以上が犠牲になり、第二次世界大戦後としてはアメリカ最大の自然災害となった。前例のない経験に行政関係者も「破堤による浸水というシナリオは考えられなくはないが、現実には考えていなかった」 と話し、特に高齢者や、車で避難できなかった貧困層の犠牲が多く、適切な避難態勢が取られていれば犠牲は抑制できたと考えられている。 ホワイトハウスは2006年2月、政府対応を検証した報告書 で、各機関の役割分担が不明確だったことや、防災計画に対する担当者の理解不足、地域の防災計画の不十分さなどを指摘した。 こうしたことから、災害の発生を前提にした防災行動計画を事前に策定しておくことの必要だとの認識が広がった。 2012年10月、ハリケーン・サンディが米ニュージャージー州に上陸、大都市ニューヨークを直撃した。高潮による浸水で800万世帯が停電し、地下鉄もストップしたことから経済活動にも大打撃を与え、被害額はニュージャージー、ニューヨーク両州で計8兆円規模に上った。 米全土とカナダで計132人が亡くなったが、ニュージャージー州バリアアイランドでは4000戸の家屋が浸水したが、犠牲者がゼロだった。当時すでに同州ではハリケーンの上陸を想定したタイムラインを策定し、上陸96時間前に避難所の計画と準備、72時間前に知事による緊急事態宣言、36時間前に避難勧告発表、24時間前に公共交通機関の運休をする計画を決めていた。サンディの対応でも事前に鉄道やバスの運休予告などを実施し功を奏した。
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