オリジナル版の捜索と修復
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/17 14:34 UTC 版)
「ウィッカーマン (1973年の映画)」の記事における「オリジナル版の捜索と修復」の解説
監督のハーディは、一方でオリジナルの公開を願っており、1970年代半ばからリーや脚本のシェーファーとともに編集前のネガを探そうとしたが既に紛失した後だった。ハーディは99分版をコーマンの元に送ったことを憶えていたため、コーマンに問い合わせたところ彼の元にディレクターズカットが唯一現存することがわかった。これをもとに、ワーナーが売却したフィルムの権利を買ったアメリカの配給会社アブラクサスと協議の上ハーディらによる修復が進められ、1979年には96分の再編集版が作られアブラクサス社によってアメリカで再公開された。しかしこれとは別に、1979年版にはないシーンが収録された別の長時間版のビデオが、アメリカでメディア・ホーム・エンタテインメント社(英語版)によりリリースされ、1980年代以降に日本など各国でも流通したが、どのような経緯でこのビデオが発売されたのかは不明である。また日本 では1998年になりようやく劇場公開された(このとき上映されたのは87分版)。 2001年、フィルムの世界配給権を持つことになったフランスのカナルプリュスがコーマンが別に持っていたテレシネフィルムをもとにさらに完全に近い版を目指して編集を進め、ハーディのオリジナルに最も近い、それまでで最長の99分版(ディレクターズカット版)をリリースしている。 映画公開40周年にあたる2013年には、ヨーロッパの配給権をもつスタジオカナルが失われた『ウィッカーマン』のフィルムを見つけようとのキャンペーンをFacebookで行い、ハーバード・フィルム・アーカイブから92分の35mmフィルムが発見された。これは以前「ミドルバージョン」と呼ばれたもので、ハーディの編集したオリジナル版からハーディ自身が再編集したものだが一度も上映されなかったバージョンだった。ハーディは、アプラクサスと作った1979年版も発見されたことで、当初構想していたストーリーのつながりが再現できることには安堵しているが、オリジナル版は二度と見つからないだろうと述べている。 ハーディは2013年7月、スタジオカナルがフィルムの修復を進め、最も完全版に近いバージョンの公開を予定していると発表した。北米ではデジタル修復された『ウィッカーマン final cut』(The Wicker Man: The Final Cut)が2013年9月に公開され、2013年10月にDVDで発売された。ファイルナルカット版の上映時間はオリジナル版よりは短いものの、劇場公開版よりは長い91分である。『ウィッカーマン final cut』は、日本では2020年に劇場公開された。 イギリス版『ウィッカーマン final cut』のDVDは、1枚目は『Burnt Offering: The Cult of the Wicker Man』『Worshipping The Wicker Man』『The Music of The Wicker Man』の3本のミニ・ドキュメンタリーを収録しているほか、ハーディとリーへのインタビュー、劇場予告編などを収録し、2枚目にファイルナルカット版(HD)のほかに87分のイギリス公開版(HD)と99分のディレクターズカット版(SD)の両方、オーディオコメンタリー、メイキングなどを収録し、3枚目はオリジナルサウンドトラックとなっている。
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