ウイルスタンパク質・遺伝子・抗原
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/13 02:05 UTC 版)
「エプスタイン・バール・ウイルス」の記事における「ウイルスタンパク質・遺伝子・抗原」の解説
蛋白・遺伝子・抗原感染形式機能などEBNA-1 潜伏・ 溶解 EBNA-1蛋白はEBVゲノムの複製起点(oriP)に結合し、宿主の感染細胞の分裂の際にEBVの複製とエピゾームの分割を引き起こす。この蛋白は潜伏感染のI型のみで発現されるEBV蛋白である。転写活性能をもち、EBV感染細胞の形質転換に必要な, EBNAs・LMP1遺伝子を発現させ・アポトーシス阻害などにより感染細胞の増殖・生存に働く。 EBNA-2 潜伏・ 溶解 EBVの主要な転写促進因子である。 EBNA-3 潜伏・ 溶解 これらのEBV蛋白は宿主のRBP-Jκ蛋白に結合する。 LMP-1 潜伏 LMP-1は6個の膜貫通ドメインをもつ膜タンパク質で細胞膜上で二量体を形成する。C末端細胞内領域には transformation effector site (TES)-1, -2とよばれる不死化活性を担うドメインが存在し、EBV感染したB細胞の不死化に必須なEBV蛋白でもある。TES-1, 2に TNF-receptor-associated factor(TRAF)と TNF-receptor-associated death domain(TRADD)が会合し, 細胞内シグナルを惹起し、NF-κB・c-JUN N-terminal kinase(JNK)・p38MAPK経路などがリガンド非依存的に恒常的に活性化される。この活性化経路は、B細胞活性化・増殖・免疫グロブリン(Ig)クラススイッチ・胚中心形成に必要なCD40シグナル伝達と同じ経路であり、LMP-1は共刺激分子CD40からのシグナル伝達を模倣している。NF-κBの活性化を通して、CD23・CD39・CD40・CD44・LFA-1・LFA-3・ICAM-1発現活性化、免疫グロブリン(Ig)クラススイッチに必要な活性化誘導シチジンデアミナーゼ(AID)の遺伝子AICDAの転写が活性化される。Bcl-2誘導によるアポトーシス回避。 LMP-2 潜伏 LMP-2A・LMP-2Bはチロシンキナーゼシグナル経路を阻害する膜貫通型蛋白である。LMP-2AのN末端細胞内領域は、ITAMをもち、Lyn・SykなどSrc family thyrosin kinaseが会合してMAPキナーゼ・PI3K・Aktなどの活性化を来す。この活性化経路は、B細胞受容体(BCR)が活性化されたのと同様のシグナル活性化経路であり、LMP-2AはこのB細胞受容体(BCR)活性化経路を摸倣している。 EBER 潜伏 EBER-1/EBER-2は核小体低分子RNAであり、ある種の核蛋白粒子に結合しPKR (二重RNA依存性セリン・トレオニンプロテインキナーゼ) に結合することを可能とさせ、ゆえにその機能を阻害する。EBER粒子はまたIL-10の産生を誘導し、EBVに感染した細胞の成長と細胞傷害性T細胞の働きを阻害する。 v-snoRNA1 潜伏 v-snoRNA1(Epstein–Barr virus snoRNA1)はEBVの潜伏感染期に産生される核小体低分子RNAのうちboxC/Dに分類されるものである。v-snoRNA1はマイクロRNAのような24ヌクレオチドのRNAへと切断される前駆体で、ウイルスのDNAポリメラーゼの伝令RNAの3'UTRを標的とする。 ebv-sisRNA 潜伏 ebv-sisRNA-1は潜伏感染のIII型において生成されるstable intronic sequence RNAである。EBERsに次いでebv-sisRNA-1はIII型において3番目に多いsmallRNAである。 miRNAs 潜伏 EBVのマイクロRNA(miRNAs)は二つの遺伝子(BART遺伝子の中とBHRF-1遺伝子クラスターの近く)によってエンコードされている。3種のBHRF-1マイクロRNAは潜伏感染のIII型で産生されるのに対し、BARTのマイクロRNAの多く(多くて20種のマイクロRNA)は潜伏感染のII型で産生される。これらのマイクロRNAの働きは未だよく分かっていない。 EBV-EA 溶解 溶解感染初期抗原 EBV-MA 溶解 膜抗原 EBV-VCA 溶解 ウイルスカプシド抗原 EBV-AN 溶解 アルカリヌクレアーぜ
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