インターネットと「フリーライダー」問題
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2016/03/25 14:00 UTC 版)
「マイクロペイメント」の記事における「インターネットと「フリーライダー」問題」の解説
経済学によれば公共財とは、追加の出費を強いることなく、無制限の人数の人々が使ったり消費したりできるものを指す。ラジオ放送は一種の公共財である。ラジオ番組はある固定の予算をかけて制作されるが、その放送の受信可能地域の住民なら何人でもその番組を受信できる。番組の聴取者が1人増えても、放送局側でそれに対応して出費(経費)が増えるわけではない。このため、番組の広告枠を販売することで収入を得ることができ、追加の経費は発生しない。聴取者がその番組を聴いても、広告(CM)に対して何も反応しなければ、聴取者側にも追加のコストは生じない。番組を聴いてもCMで広告された商品を購入しない聴取者が「フリーライダー」である。 対照的に、雑誌や新聞の出版社が読者を増やそうとすると、追加のコストが生じる。そのため、多くの雑誌や新聞は有料で販売されている。つまり、新聞や雑誌は公共財ではなく、1部(1冊)ごとに代金を支払わせることでフリーライダー問題を回避している。もちろん無料の新聞や雑誌もあり、その場合は広告掲載料だけでコストを賄っている。無料の新聞や雑誌は通常、掲載する広告に反応するだろう読者だけをターゲットとして、部数を制限して出版されている。また、有料の出版物は一般に大量に印刷され、カラー写真やイラストを使うが、無料の出版物はコストを下げるために部数を少なくしたり色を制限したりすることが多い。 多くのインターネットサイトはコンテンツを無料の公共財のように扱い、その制作コストは広告でのみ賄われている。これらのサイトは実は公共財でないものを課金せずに提供している。バンド幅のコストがあるため、このやり方は長続きしないことが多い。オンラインのコンテンツは放送番組のように固定コストで提供することはできず、あるウェブサイトにアクセスする人が増えるほどバンド幅コストが増大していく。この増加はごくわずかだが(そのコンテンツの大きさに依存する)、アクセスする人数が増えれば最終的にそのサイトのバンド幅に到達する。したがって、多くの人がアクセスしても広告をクリックしてくれないと、バンド幅の増大に対して広告収入が追いつかず、赤字になってしまう。このような形態のサイト運営だけで収入を得るのは難しく、購読方式で課金したり、全体に占める広告の割合を増やす(サイトのクオリティが低下する)といった結果になる例が見られる。 マイクロペイメント支持者は、このビジネスモデルなら広告収入だけに頼っているサイトのフリーライダー問題を解決できるとしている。また、購読料金を徴収しているサイトも改善できると主張する。 一方、マイクロペイメントに反対する人々は、購読方式の方が好ましく、マイクロペイメント方式では広告よりも収入が減ると考えている。
※この「インターネットと「フリーライダー」問題」の解説は、「マイクロペイメント」の解説の一部です。
「インターネットと「フリーライダー」問題」を含む「マイクロペイメント」の記事については、「マイクロペイメント」の概要を参照ください。
- インターネットと「フリーライダー」問題のページへのリンク