イスラム教とガブリエル
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/01 02:19 UTC 版)
「ガブリエル」の記事における「イスラム教とガブリエル」の解説
ユダヤ教、キリスト教から天使の姿はイスラム教にも受け継がれた。アラビア語ではガブリエルはジブリール(アラビア語: جِبرِيل)と呼ばれている。 イスラム教では、ジブリールは預言者ムハンマドに神の言葉である『クルアーン』を伝えた存在である(2章97節等)。このため、ジブリールは天使の中で最高位に位置づけられている。 610年頃、メッカ郊外のヒラー山の洞窟で瞑想していたムハンマドは突如金縛りに襲われた。そのとき天から大天使ジブリールが現れ、「誦め(よめ)」と言った。ムハンマドが「何を誦めと言うのですか」と苦しみながら尋ねたところ、ジブリールはフッと消えていった。この時よりクルアーンの啓示が始まる。それから二十三年の間、ジブリールはムハンマドの元を度々訪れてはクルアーンの各章を啓示していった(クルアーン96章など)。 有名な「夜の旅」の逸話にもジブリールが登場する。ある夜ジブリールに起こされたムハンマドは、翼を持つブラークと呼ばれる動物にまたがり、天使に導かれてエルサレムへ夜の空の旅に出る(クルアーン17章)。そこでムハンマドは天国と宇宙を訪れ、全ての預言者に出会い、彼らと共に礼拝を行い、その後再びブラークに乗り、メッカへと戻ってきたという。 またハディースによると、ジブリールは624年バドルの戦いにおいて、ムハンマドの率いるムスリム軍と共に反イスラームの戦士たちと戦い、勝利をもたらした。 また、ハガル(ハージャル)とイシュマエル(イスマーイール)が飢えと乾きによって死にかけていた時に、彼らのために決して枯れることのない井戸をメッカに掘ったという(現在でもカアバに隣接しているザムザムの泉のことで、伝説によるとムハンマドより数世代前のメッカでの争乱によって長らく埋められていたものを、ムハンマドの祖父アブドゥル=ムッタリブが再発見したと言われている)。 イスラムの伝説では、ジブリールは1600枚の翼と濃い黄色の髪を持ち、両目の間には太陽が埋め込まれているという。彼は毎日、光の大海に360回入り、前に進むとそれぞれの翼からしずくが落ち、アッラーフを讃える天使となる。 クルアーンを示すために現われた時、彼の翼は緑色で東から西への地平線ほどの長さもあり、足は黄色で、輝く顔の両目の間には「神(アッラーフ)のほかに神なし、ムハンマドは神の預言者なり」という言葉が刻み込まれていた。
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