イギリス艦船の抗堪性
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/05 04:51 UTC 版)
「フォークランド紛争」の記事における「イギリス艦船の抗堪性」の解説
21型フリゲート8隻のうち2隻が本戦争で撃沈されたことについて、同型が元々商船規格で設計されたことや、アルミニウム合金を多用したこととの関連も疑われた。しかし1977年に「アマゾン」が火災事故で大破したことについてはアルミニウム合金の脆弱性が被害増大につながったと指摘されているのに対し、本戦争での喪失艦については、あまり関係がなかった。「アーデント」は水線付近に多数の命中弾を受けてずたずたになっており、また「アンテロープ」は艦内深くまで突入した爆弾の爆発によって沈没したが、いずれも、この規模の艦にとっては、船体構造に関係なく十分に致命傷となる損傷であった。 またエグゾセを被弾した「シェフィールド」の喪失についても、アルミニウム合金の脆弱性に原因を求める意見も多かったが、実際には船体・上部構造物共に全鋼製であった。しかし通風トランクや仕切弁はアルミニウム合金製であり、これらは火災によって溶解してしまい、電纜を介した延焼もあって火災は他区画へ拡大した。特に消火活動にとって致命的であったのが、消火主管の機能喪失であった。これは消防ポンプの起動失敗や可搬式ポンプの能力不足によるものだったが、この結果、火災範囲は艦内の約2/3に達した。電纜類の被覆などの燃焼によって有毒ガスが発生し、また被弾後約30分で電源が失われたこともあって、艦自身の消火活動はほとんど遂行不能となってしまった。艦は放棄され、数日後の曳航中に荒天に遭遇、沈没している。この事件について、アメリカ合衆国の著名な海軍史家であるノーマン・フリードマンは、「現代の精緻な軍艦は対艦ミサイルに耐えられないという誤解が蔓延したが、20年にわたる冒険的なコスト削減のツケがとうとう回ってきたというのが実態である」と評している。
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