イギリス、フランス民俗学
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/03 05:07 UTC 版)
イギリスでは1846年に、トムズ(William John Thoms)がドイツ語のフォルクスクンデを英語に訳してフォークロアfolkloreの術語を提唱し、古代文化の名残や民謡などを対象に民俗研究の草分けとなったが、学問の組織化としては、1878年にジョージ・ゴム(George Laurence Gomme)らがロンドンに“Folklore Society"(民俗学協会)を設立した時期を端緒とする。進化主義人類学が波及力を持っていた19世紀末のイギリスでは、民俗学も庶民の習俗に見るキリスト教以前の残存(Survival)を対象にするとともに、自民族のみならず海外植民地を関心に入れるなど、人類学との近接性が顕著にみとめられる。それは1885年に民俗学の協会が設立されたフランスも同様であり、20世紀初頭にかけてサンティーヴ(Pierre Saintyves)、ロベール・エルツ(Robert Hertz)、レヴィ=ブリュル(Lucien Levi-Bruhl)、ファン・ヘネップ(Arnold van Gennep)といった学者が、近代的な民俗学・人類学研究を進めた。彼らのアプローチに異同はあるにせよ、民間伝承の起源を遡及し原始的な民族心理の究明を重視する点では概ね共通している。またエルツやレヴィ=ブリュルはモース(Marcel Mauss)やデュルケーム(Emile Durkheim)などと近く、ファン・ヘネップも後にターナー(Victor Turner)へ影響を及ぼすなど、人類学や社会学と不可分の位置にあったこともフランスの民俗学研究の特徴だった。
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