アルファ反応による核融合過程
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2017/05/06 02:32 UTC 版)
「ケイ素燃焼過程」の記事における「アルファ反応による核融合過程」の解説
太陽の約3倍以下の質量の恒星は水素をヘリウムに変換した時点で燃料を使い切ってしまう。太陽の3倍以上8倍以下の質量の恒星はヘリウムをさらに「燃焼」させて炭素を作ることができる。そのような恒星はヘリウムを使い切ると炭素のコアを残して一生を終える。太陽の8-11倍以上の質量を持つ恒星はその質量による高い重力ポテンシャルにより炭素をも燃焼させることができる。大質量星の収縮により、コアは6×108 Kを超え、以下の反応による炭素燃焼が始まる。 12 C + 4 He ⟶ 16 O {\displaystyle {\ce {^{12}C\ \ +{}^{4}He->{}^{16}O}}} 16 O + 4 He ⟶ 20 Ne {\displaystyle {\ce {^{16}O\ \ +{}^{4}He->{}^{20}Ne}}} 20 Ne + 4 He ⟶ 24 Mg {\displaystyle {\ce {^{20}Ne\ +{}^{4}He->{}^{24}Mg}}} 24 Mg + 4 He ⟶ 28 Si {\displaystyle {\ce {^{24}Mg\ +{}^{4}He->{}^{28}Si}}} 28 Si + 4 He ⟶ 32 S {\displaystyle {\ce {^{28}Si\ +{}^{4}He->{}^{32}S}}} 32 S + 4 He ⟶ 36 Ar {\displaystyle {\ce {^{32}S\ \ +{}^{4}He->{}^{36}Ar}}} 36 Ar + 4 He ⟶ 40 Ca {\displaystyle {\ce {^{36}Ar\ +{}^{4}He->{}^{40}Ca}}} 40 Ca + 4 He ⟶ 44 Ti {\displaystyle {\ce {^{40}Ca\ +{}^{4}He->{}^{44}Ti}}} 44 Ti + 4 He ⟶ 48 Cr {\displaystyle {\ce {^{44}Ti\ +{}^{4}He->{}^{48}Cr}}} 48 Cr + 4 He ⟶ 52 Fe {\displaystyle {\ce {^{48}Cr\ +{}^{4}He->{}^{52}Fe}}} 52 Fe + 4 He ⟶ 56 Ni {\displaystyle {\ce {^{52}Fe\ +{}^{4}He->{}^{56}Ni}}} 一連のケイ素燃焼プロセスは約1日で終了し、ニッケル56を生成して停止する。ニッケル56(陽子28個)は半減期6.02 日でβ+崩壊を起こしてコバルト56(陽子27個)に崩壊する。コバルト56は半減期77.3 日でβ+崩壊を起こして鉄56(陽子26個)に崩壊する。しかし、大質量星ではニッケル56が崩壊するための時間は数分しかない。アルファ反応における全ての元素の中で56個の核子を持つ原子核は核子あたりの質量が最小であり、これ以上質量をエネルギーに変換することができなくなる。鉄56よりも鉄58とニッケル62はわずかに核子あたりの質量が小さいものの、アルファ反応の次のステップである亜鉛60はわずかに核子あたりの質量が大きいために事実上エネルギーは使用し尽くされている。 核燃料を使い尽くした恒星は数分のうちに収縮を始める。コアの温度、圧力が上昇するが、新しいエネルギー源がないために収縮は急速に加速し、数秒で重力崩壊を起こす。
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