アラゲヒョウタンボクとは? わかりやすく解説

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荒毛瓢箪木

読み方:アラゲヒョウタンボク(aragehyoutanboku)

スイカズラ科落葉低木

学名 Lonicera strophiophora


アラゲヒョウタンボク

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/06/16 14:04 UTC 版)

アラゲヒョウタンボク
岩手県宮古市 2025年4月下旬
分類APG IV
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 Angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 Eudicots
階級なし : キク上類 Superasterids
階級なし : キク類 Asterids
階級なし : キキョウ類 Campanulids
: マツムシソウ目 Dipsacales
: スイカズラ科 Caprifoliaceae
: スイカズラ属 Lonicera
: アラゲヒョウタンボク
L. strophiophora
学名
Lonicera strophiophora Franch. (1886)[1]
和名
アラゲヒョウタンボク(粗毛瓢箪木)[2](荒毛瓢箪木)[3]

アラゲヒョウタンボク(粗毛瓢箪木、荒毛瓢箪木、学名: Lonicera strophiophora)は、スイカズラ科スイカズラ属落葉低木。別名、オオバヒョウタンボク[2][3][4][5]

直立する高さ1-2.5mの低木で、は中実でほぼ無毛であるが初め毛が散生する。葉状の大型のがあり、の展開とほぼ同時に、白色で対になったが下向き開くのが特徴[3][4][5][6]

特徴

高さは1-2.5mになる。の樹皮は灰褐色になり、縦に裂ける。若いは茶褐色で、円く、中実で、無毛か長い腺毛が生え、古くなると毛は落ちる。は対生し、葉身は長さ3-11cm、幅2-5cmの卵形から長楕円状卵形で、先端は急に短くとがるか鈍く、基部はくさび形になる。葉の縁は全縁で、縁に長毛が生える。葉の表面に短腺毛が散生し、裏面はしばしば粉白色になり、葉脈上に長短の粗毛が生える。葉柄は長さ3-7mmになり、開出する長粗毛と腺毛が生える[2][3][4][5]

花期は4-5月。は葉の展開とほぼ同じ時期に咲き、長さ7-15mmになる花柄の先に2個の花を下向きにつける。花柄は腺毛か開出する長毛が生えるか無毛で、若枝の下部の葉腋から出る。子房の基部に2個の大型の葉状のがあり、卵形で、長さ1-2cm、幅6-10mm、縁に長毛が生え、果時まで残る。小苞は無い。子房は下位で毛または腺毛が生え、離生するが、大型の葉状の苞に隠れて見えない。片は小さく目立たない。花冠は漏斗状で下垂し、長さ2-2.5cm、先が5列し、初め緑白色でのちに淡黄色を帯びる。花冠筒部は長さ13-15mm、しだいに太くなり、基部の一方がふくらみ、花冠裂片は卵形で、長さ6-7mm、幅4-6mmになる。雄蕊は5個あり、花冠より短い。花糸は花冠裂片の間に合生する。は長さ3mm。雌蕊は1個、花柱は基部が有毛で、花冠より少し長い。果実は径5-10mmになる球状の液果で、2個ずつ並ぶが合着はせず、6-7月に赤く熟す。種子は広楕円形で、長さ2-3mmになる。染色体数2n=18[2][3][4][5]

分布と生育環境

日本固有種[6]。北海道南西部、本州東部、四国の剣山に分布し[2][6]、標高250-2200mの山地に見られ、石灰岩地にも生育する。北部では海岸の林地にも見られる[2][5]

名前の由来

和名アラゲヒョウタンボクは、「粗毛瓢箪木」[2]、「荒毛瓢箪木」の意で、葉に生える粗い毛に基づく[3]。K. Miyabe(宮部金吾)による命名[7][8]。別名のオオバヒョウタンボクは、「大葉瓢箪木」の意で、江戸時代に付けられた名で[3]、『草木図説木部』を編纂した飯沼慾斎による[8]

種小名(種形容語)strophiophora は、「小突起のある」の意味[9]

種の保全状況評価

国(環境省)でのレッドデータブックレッドリストの選定はない。都道府県のレッドデータ、レッドリストの選定状況は、福島県-絶滅危惧IB類(EN)、栃木県-絶滅危惧II類(Bランク)、埼玉県-絶滅危惧IB類(EN)、石川県-準絶滅危惧(NT)、福井県-県絶滅危惧I類となっている[10]

下位分類

変種および品種レベルで次のように区別することがある[4][5]

  • ダイセンヒョウタンボク Lonicera strophiophora Franch. var. glabra Nakai (1921)[11] - 子房と花柱が無毛なもの。近畿地方中国地方に分布する[5]
  • ナンブヒョウタンボク Lonicera strophiophora Franch. f. glabrifolia (Ohwi) H.Hara (1983)[12] - 葉の両面が無毛で、葉の縁にのみ長い粗毛があるもの[5]岩手県五葉山に分布する[4]
  • ホソバアラゲヒョウタンボク Lonicera strophiophora Franch. f. lancifolia Hayashi (1958)[13] - 葉が長楕円形から披針形で、基本種と比べ著しく細長く褐色を帯びた長い毛が多いもの。長野県上高地で採集された[14]

ギャラリー

脚注

  1. ^ アラゲヒョウタンボク 「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
  2. ^ a b c d e f g 城川四郎 (2001)「スイカズラ科」『山溪ハンディ図鑑5 樹に咲く花 合弁花・単子葉・裸子植物』pp.408-409
  3. ^ a b c d e f g 『新分類 牧野日本植物図鑑』p.1222
  4. ^ a b c d e f 『原色日本植物図鑑 木本編I(改訂版)』pp.10-11
  5. ^ a b c d e f g h 五百川裕 (2017)「スイカズラ科」『改訂新版 日本の野生植物 5』pp.420-421
  6. ^ a b c 奥山雄大 (2011)「スイカズラ属」『日本の固有植物』pp.133-134
  7. ^ T. Makino「Observations on the Flora of Japan, (Continued from p. 192. )」『植物学雑誌 (The Botanical Magazine)』第17巻第202号、東京植物学会、1903年、208-209頁、doi:10.15281/jplantres1887.17.202_207 
  8. ^ a b T. Makino「Observations on the Flora of Japan」『植物学雑誌 (The Botanical Magazine)』第19巻第227号、東京植物学会、1905年、148頁、doi:10.15281/jplantres1887.19.131 
  9. ^ 『新分類 牧野日本植物図鑑』p.1514
  10. ^ アラゲヒョウタンボク、日本のレッドデータ検索システム、2025年6月16日閲覧
  11. ^ ダイセンヒョウタンボク 「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
  12. ^ ナンブヒョウタンボク 「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
  13. ^ ホソバアラゲヒョウタンボク 「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
  14. ^ 林弥栄「二つの新品種」『植物研究雑誌 (The Journal of Japanese Botany)』第31巻第5号、津村研究所、1956年、138頁、doi:10.51033/jjapbot.31_5_3992 

参考文献



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