アメリカ合衆国の最高裁判所
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/12/08 18:25 UTC 版)
「判例引用」の記事における「アメリカ合衆国の最高裁判所」の解説
合衆国最高裁判所の判例は、「合衆国判例集」に公式にまとめられ刊行されている。「合衆国判例集」による引用は、以下のようになる。 Brown v. Board of Education, 347 U.S. 483 (1954) Miranda v. Arizona, 384 U.S. 436 (1966) 裁判所がした裁判の多くは、2つ以上の判例集に掲載される。判例を2つ以上の判例集から引用してくる場合の引用方法を、「parallel citation」(並行引用、パラレル・サイテーション)という。アメリカ合衆国最高裁判所の場合、「Supreme Court Reporter(S. Ct.)」(最高裁判所判例集)、「United States Supreme Court Reports, Lawyers' Edition(L. Ed.)」(合衆国最高裁判所判例集ローヤーズ・エディション。「ローヤーズ・エディション」の名で知られている)といった非公式判例集が複数存在している。これらは民間の会社から発行されており、最高裁の判断に対する注釈が掲載されている。上の非公式判例集から必ずしも引用する必要はないのだが、弁護士や法学記事の寄稿者によっては、好んでこれら3つの判例集すべての引用を行う場合もある。具体的には、以下のように表示される。 Griswold v. Connecticut(英語版), 381 U.S. 479, 85 S. Ct. 1678, 14 L. Ed. 2d 510 (1965) L. Edの後の「2d」は、ローヤーズ・エディションの第2シリーズであることを示している。アメリカの判例集は順番に番号が振られていくが、その巻数は999を超えないこととされている。巻数が1000巻に達した場合(過去においてはそれよりも少ない巻数が基準とされていた)、巻数は1巻にリセットされ、判例集の略称の後ろに「2d」という表示がされる。いくつかの判例集は現在第3シリーズまで刊行されており、少ないながらも第4シリーズに達しているものもある。 古い最高裁判所判例については、変わった引用方法が用いられることがある。以下はその例である。 Marbury v. Madison, 5 U.S. (1 Cranch) 137 (1803) 最高裁判所の記録係がまとめる「合衆国判例集」といった判例集があらわれるまでは、判例は、裁判所の記録係によって編纂され、非公式に販売されていた。上の例における「(1 Cranch)」は、1801年から1805年まで最高裁判所の判例集の出版に携わっていたウィリアム・クランチにより最初に編集された判例集から、Marbury事件の判例を引用していることを示している。これらの判例集は、その編纂を行った個人の名字から名付けられるため、「nominative reports」と呼ばれ、1790年から1874年まで存在していた。1874年初めに、アメリカ政府は、合衆国判例集を創刊し、それまで非公式に出版されていた判例集を年代の早いものから順番にナンバリングした上で合衆国判例集として発行した。上記の例における「5 U.S. (1 Cranch)」は、合衆国判例集第5巻であるが、クランチの判例集の1巻目であることを意味している。前任者のダラスが出版した判例集の4巻目は、「4 U.S. (4 Dall.)」と表記される。クランチの判例集は9巻あるが、その後任者であるヘンリー・ウィートンは12巻の判例集を出しており、その2番目のものを示すときは「15 U.S. (2 Wheat.)」となる。 また、裁判自体はなされたがまだ判例集に掲載されていない判例を引用する場合は、以下のようになる。巻数は記載するが頁数は空欄にしておく。 Bowles v. Russell, 551 U.S. ___ (2007) 最高裁判所の判例の表題は、最初に申立て(上訴)をした当事者の名前が表示され、後に被申立人(被上訴人)の名前が記載される。大抵の場合、上訴を行うのは、原審で負けた当事者である。連邦控訴裁判所においても、これと同様の運用が行われている。
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