アミノ基の保護基
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/07/08 08:01 UTC 版)
α-アミノ基の保護基はカルボキシ基との縮合の時に他の保護基を残したまま、選択的に脱保護できなくてはならない。前述のようにアミノ酸のラセミ化を防ぐ機能を持つカルバメート型のアミノ基の保護基が種々開発されてきた。現在、主に用いられる保護基はベンジルオキシカルボニル基(CbzあるいはZ)、tert-ブトキシカルボニル基(Boc)、フルオレニルメトキシカルボニル基(Fmoc)の3種である。 Z基はクロロギ酸ベンジル(ZCl)とのショッテン・バウマン反応で導入できる。脱保護はフッ化水素酸などの処理の他、水素化によっても行うことができる。Boc基は二炭酸ジ-tert-ブチル(Boc2O)とのショッテン・バウマン反応で導入できる。脱保護はトリフルオロ酢酸による処理で行うことができる。Fmoc基はN-(フルオレニルメトキシカルボニルオキシ)コハク酸イミド(FmocOSu)とアミンを反応させることで導入できる。脱保護はピペリジンによる処理で行うことができる。Fmoc基は固相合成に専ら用いられる。 また特別に区別して脱保護することが必要な場合には、アリルオキシカルボニル基(Alloc)、(1-(4,4-Dimethyl-2,6-dioxocyclohex-1-ylidene)-3-eth-yl) 基 (Dde) や 1-(4,4-Dimethyl-2,6-dioxocyclohex-1-ylidene)-3-methylbutyl基 (ivDde) が用いられる。Alloc基はテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)で処理するとπ-アリル錯体を形成して脱保護される。Dde基、ivDde基はヒドラジンで処理することで脱保護される。
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アミノ基の保護基
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/26 02:41 UTC 版)
カルバメート系 tert-ブトキシカルボニル基 – Boc と略する。トリフルオロ酢酸や4mol/L 塩酸-酢酸エチル溶液などの強酸性条件下脱保護することができる。 ベンジルオキシカルボニル基 – Z または Cbz と略する。パラジウムを触媒とした水素添加反応、バーチ還元などで脱離できる。 9-フルオレニルメチルオキシカルボニル基 – Fmoc と略する。ピペリジンなどの二級アミンによって脱保護できる。 2,2,2-トリクロロエトキシカルボニル基 – Troc と略する。亜鉛粉末-酢酸などを作用させることで脱保護できる。 アリルオキシカルボニル基 – Alloc と略する。パラジウム触媒存在下、アミンなどを加えて脱保護する。 アミド系 強酸または強塩基を作用させ脱保護する。強い条件が必要となるためあまり用いられないが、トリフルオロアセチル基(CF3CO-)は比較的穏和な条件(水酸化ナトリウム水溶液など)で脱離が可能。 イミド系 フタロイル基 – 略号 Pht。一級アミンに対してのみ用いられる。メチルアミンまたはヒドラジンを作用させることで脱保護できる。 スルホンアミド系 p-トルエンスルホニル基 – トシル基とも。Ts または Tos と略される。酸性・塩基性・ヒドリド還元・接触還元などに対して安定。バーチ還元などで脱離できる。 2-ニトロベンゼンスルホニル基 – 福山透らが開発した保護基。ノシル基と略される。略号 Ns。酸性・塩基性などに対して安定だが、塩基性条件下チオールを作用させることで容易に脱保護できる。Ns基で保護した一級アミンは穏和な条件下 N-アルキル化が行えるため、二級アミンの合成法として有用。
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