アニマンタルクスとは? わかりやすく解説

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アニマンタルクス

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/07/30 09:22 UTC 版)

アニマンタルクス
生息年代: 98.37–104.46 Ma
復元骨格
地質時代
白亜紀前期
分類
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 爬虫綱 Reptilia
亜綱 : 双弓亜綱 Diapsida
下綱 : 主竜下綱 Archosauria
上目 : 恐竜上目 Dinosauria
: 鳥盤目 Ornithischia
亜目 : 装盾亜目 Thyreophora
下目 : 曲竜下目 Ankylosauria
: ノドサウルス科 Nodosauridae
亜科 : ノドサウルス亜科 Nodosaurinae
: パノプロサウルス族 Panoplosaurini
: アニマンタルクス属
Animantarx
学名
Animantarx
Carpenter et al.1999

アニマンタルクスAnimantarx 「生きた要塞」の意味)は白亜紀後期に現在の北アメリカ西部に生息していたノドサウルス科の曲竜類恐竜の属の一つである。他のノドサウルス類同様、ゆっくりと移動する四足歩行で草食動物で、装甲英語版に覆われていたが尾の棍棒がない恐竜であった。頭骨は長さ約25 cmで、体長は3 m未満であったと推定される。

属名はラテン語で「生きている」もしくは「生気のある」を意味するanimatusと「要塞」もしくは「砦」を意味するarxから構成されていて、装甲している特長にちなんだものである。特に、古生物学リチャード・スワン・ルルの「まるで生命をあたえられた砦のようだ、この動物は実質的に難攻不落だったに違いない」というコメントを参照している[1]。タイプ種は唯一知られている種でもあるA. ramaljonesi種小名は化石の発見者である Ramal Jones に献名されたものである。Ramal の妻、Carol Jones は近くで同時代の恐竜エオランビアEolambia)も発見している。

発見と種

別角度から見た骨格
人との大きさ比較

アニマンタルクスの標本は現在までのところ1つだけ収集されている。この標本には下顎、頭骨の後半部、頸椎胴椎、様々な四肢の要素が含まれている。頭部後方のドーム、後眼窩骨英語版方形頬骨の上にある小さな角、下顎骨の半分ほどの長さを覆う装甲英語版などの独自の特徴を持つ。

これらの化石はアメリカユタ州東部にあるシーダーマウンテン累層(en )のMussentuchit部層で発見された。この地層は白亜紀後期アルブ期からセノマン期(1億600万年前-9700万年前)のものと考えられている。Mussentuchitでは十分に命名されていないものの、魚類カエルトカゲヘビワニ恐竜鳥類など少なくとも80種類の脊椎動物が発見されている。肉食の獣脚類や違うタイプの草食恐竜であるイグアノドン類のエオランビアなど多くの恐竜のグループがこの地から知られている。魚類やカエルなどの水生生物の化石や泥岩が存在することからこの累層は氾濫原のような環境だったと示唆される[2]

シーダーマウンテン累層のより古い地層から他のノドサウルス類が知られている。最も古いイエローキャット部層からはガストニアが、中間のポイズンストリップ部層、ルビーランチ部層からはサウロペルタが発見されている。シーダーマウンテン累層で最も新しい時代の地層であるMussentuchitではアニマンタルクスのみが発見されている。シーダーマウンテン累層ではまだ十分に探査されていない場所が多くあるものの、ノドサウルス類の種の分布は他の恐竜のグループのものに一致し、この累層に3つの分かれた動物相が存在したと仮定することが出来る。 Mussentuchitの動物相にはアジアに起源を持つ可能性がある分類群が多く含まれ、この時代にアジアから北アメリカへの分散英語版 が起こったことを示唆する[2][3]

この地域で発見される化石はわずかに放射性を帯びていることがよくあり、実際にアニマンタルクスの化石はRamal Jonesがこの地域での放射線探査の最中に高レベルの放射能を検地した場所で発見された。この場所での後続の発掘では表面には何の化石も露出していなかったもののアニマンタルクスの化石が掘り起こされた[4]

分類

科の内部での関係は正確には不確定であるが、アニマンタルクスは一般に曲竜類のノドサウルス科に分類されている。アニマンタルクスは最近の曲竜類の系統解析には含まれていないものの、研究者には丸い上眼窩英語版突起とノブ状の肩峰突起からノドサウルス科のincertae sedisとして認識されている[5]。二つの別の研究でノドサウルス科内でエドモントニア姉妹群であるとされている[6][7]

参照

  1. ^ Lull, R.S. 1914. Rulers of the Mesozoic. Yale Review 3: 352-363.
  2. ^ a b Kirkland, J.I., Britt, B., Burge, D.L., Carpenter, K., Cifelli, R., DeCourten, F., Eaton, J., Hasiotis, S., and Lawton, T. 1997. Lower to Middle Cretaceous dinosaur faunas of the Central Colorado Plateau: a key to understanding 35 million years of tectonics, sedimentology, evolution, and biogeography. Brigham Young University Geology Studies 42:69-103.
  3. ^ Carpenter, K., Kirkland, J.I., Burge, D.L., & Bird, J. 1999. Ankylosaurs (Dinosauria: Ornithischia) of the Cedar Mountain Formation, Utah, and their stratigraphic distribution. In: Gillette, D. (Ed.) Vertebrate Paleontology in Utah. Utah Geological Survey Miscellaneous Publication 99-1. Pp. 243-251.
  4. ^ Jones, R.D. & Burge, D.L. 1995. Radiological surveying as a method for mapping dinosaur bone sites. Journal of Vertebrate Paleontology 15: 38A.
  5. ^ Vickaryous, M.K., Maryanska, T., & Weishampel, D.B. 2004. Ankylosauria. In: Weishampel, D.B., Dodson, P., & Osmólska, H. (Eds.). The Dinosauria (2nd edition). Berkeley: University of California Press. Pp. 363-392.
  6. ^ Carpenter, K. 2001. Phylogenetic analysis of the Ankylosauria. In: Carpenter, K. (Ed.). The Armored Dinosaurs. Bloomington: Indiana University Press. Pp. 454–483.
  7. ^ Hill, R.V., Witmer, L.M., Norell, M.A. 2003. A New specimen of Pinacosaurus grangeri (Dinosauria: Ornithischia) from the Late Cretaceous of Mongolia: ontogeny and phylogeny of ankylosaurs. American Museum Novitates 3395: 1-29.



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