アセト酢酸エチルとは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 固有名詞の種類 > 自然 > 物質 > 化合物 > 化合物 > アセト酢酸エチルの意味・解説 

アセト酢酸エチル

分子式C6H10O3
その他の名称Ethyl acetoacetate、Acetoacetic acid ethylEAAEthyl 3-oxobutanoate、3-Oxobutanoic acid ethyl ester、Acetoacetic acid ethyl ester、3-Oxobutyric acid ethyl ester、5-Oxa-2,4-heptanedione、3-ヒドロキシ-2-ブテンエチルEthyl 3-hydroxy-2-butenoate、3-Oxobutanoic acid ethyl、Acetylacetic acid ethyl、1-Ethoxy-1,3-butanedione、1-Ethoxybutane-1,3-dione、2-Acetylacaetic acid ethylEthyl 3-oxobutyrate
体系名:1-エトキシブタン-1,3-ジオン、1-エトキシ-1,3-ブタンジオン、2-アセチル酢酸エチルアセチル酢酸エチルエチル3-オキソブチラート、3-オキソ酪酸エチル、3-オキソブタン酸エチル、アセト酢酸エチル、5-オキサ-2,4-ヘプタンジオン


アセト酢酸エチル

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/06/18 12:59 UTC 版)

アセト酢酸エチル
識別情報
CAS登録番号 141-97-9 
PubChem 8868
ChemSpider 13865426 
UNII IZP61H3TB1 
EC番号 205-516-1
国連/北米番号 1993
KEGG C03500 
ChEBI
ChEMBL CHEMBL169176 
RTECS番号 AK5250000
特性
化学式 C6H10O3
モル質量 130.14 g/mol
外観 無色の液体
匂い フルーツまたはラム酒
密度 1.030 g/cm3, 液体
融点

−45 °C, 228 K, -49 °F

沸点

180.8 °C, 454 K, 357 °F

への溶解度 2.86 g/100 ml (20 °C)
酸解離定数 pKa
  • 10.68 (H2O中)
  • 14.2 (DMSO中)
磁化率 −71.67×10−6cm3/mol
屈折率 (nD) 1.420
危険性
GHSピクトグラム
GHSシグナルワード 警告(WARNING)
Hフレーズ H319
Pフレーズ P305+351+338
NFPA 704
2
2
0
引火点 70 °C (158 °F; 343 K)
関連する物質
関連するエステル
関連物質
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

アセト酢酸エチル (ethyl acetoacetate) は、エステルの一種で、アセト酢酸エタノール脱水縮合した構造を持つ有機化合物である。消防法による第4類危険物 第3石油類に該当する[1]

性質

無色で果実のような芳香を持つ液体にもかなり溶解する (2.86 g/100 mL (20 ℃))ほか、多くの有機溶媒とは任意の割合で混ざり合う。

活性メチレン

アセト酢酸エチルの2位のメチレン部位上の水素 (CH3C(=O)CH2COOC2H5) は、炭素上にあるにもかかわらず、比較的高い酸性 (pKa= 10.7 (25 ℃、水中)) を示す。それは、アセト酢酸エチルの共役塩基にあたるカルバニオンが2種類のエノラート構造と共鳴の関係にあることで、負電荷が非局在化し、安定化されているためである。

このように 2つの電子求引基(例:カルボニル基、シアノ基など)にはさまれることでその場所のプロトンの酸性が強められている状態のメチレン基を、活性メチレン (activated methylene) と呼ぶ。同様の化合物としては、マロン酸エステル、アセチルアセトンシアノ酢酸エステルなどが挙げられる。アセト酢酸エステル合成や、マロン酸エステル合成では、このカルバニオンの安定性を C-C 結合生成のために利用している。

合成

ジケテンとエタノールの反応によって工業的に大量生産されている。

実験室では、酢酸エチルに、金属ナトリウムあるいはナトリウムエトキシド (C2H5ONa) を加え縮合させて合成する。この反応はクライゼン縮合の一例である。

クライゼン縮合によるアセト酢酸エチル合成

反応

アセト酢酸エチルは上記で述べたように活性メチレン部位を持ち、塩基を作用させて発生するカルバニオンが比較的安定である。そのカルバニオンを利用したアセト酢酸エステル合成 (acetoacetic ester synthesis) は、有力な C-C 結合生成反応である。活性メチレン化合物はまた、マイケル付加クロスカップリング反応における求核種としても利用される。

または希アルカリの存在で加水分解を行うと、同時に二酸化炭素が脱離してアセトンを生成するが、強アルカリを作用させると酢酸になる。

用途

各種有機化合物の原料として重要な物質であり、アンチピリン・アタブリンなどの医薬の原料としても用いられる。頻度は高くないが、アンズなどの果実やウイスキーラム酒香料としても使用されることがある[2]

出典

  1. ^ 法規情報 (東京化成工業株式会社)
  2. ^ 『合成香料 化学と商品知識』印藤元一著 2005年増補改訂 化学工業日報社 ISBN 4-87326-460-X



固有名詞の分類


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「アセト酢酸エチル」の関連用語

アセト酢酸エチルのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



アセト酢酸エチルのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
独立行政法人科学技術振興機構独立行政法人科学技術振興機構
All Rights Reserved, Copyright © Japan Science and Technology Agency
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのアセト酢酸エチル (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS